木村秋則さんのリンゴ畑
2008年 10月 20日

木村さんが私たちを出迎えてくださるその場所まで歩く、そのほんの短い間に、なんだかしらないけど、涙が溢れてきて止まらない。感動したとか、鳥肌が立つとか、そんなことは一切感じてないのに、ただ突然に涙だけが出てくる。木村さんの底抜けに明るい笑顔と、リンゴ畑のあったかい「WELCOME」の気持ちが、私の心の琴線に触れたよう。ふだん、クールを気取って、人前では泣かない私が、一番あたふたと驚いてしまい「なんで、泣いてんねん」と突如、大阪弁で自分つっこみをしてしまったくらい。
そんな温かさがそこにはありました。
木村秋則さんの軌道については、幻冬社の「奇跡のリンゴ」や「プロフェッショナル仕事の流儀」のDVD、絵本の「リンゴのおじさん」で紹介されてるので、ぜひぜひ入手して、見てほしいですが、畑で木村さんから伺ったお話は、内容は底抜けに悲惨。でも、それを話している木村さんは底抜けに明るいという、なんとも不思議な感覚になるものでした。
リンゴの葉っぱを食い荒らす虫の生態を知るため、木の下に寝ころんで10日間もずっと、葉っぱについている虫の卵を見続けたり。。。。(だってリンゴの実がならないから他にすることないしって・・・) 廻りの農家さんからは、家族が毎日の食にも困っているというのに仕事もせず、畑に日がな寝ころんで怠けているって思われたり「とうとう木村も狂ってしまった」って言われたそうですが、そうやって害虫1つ1つの生態を観察し、どうすればリンゴの葉っぱを食われなくなるのか研究したそう。
でも、リンゴの葉っぱを食い荒らす虫を観察しようと虫眼鏡で見たら、あまりに可愛い顔をしていたので、自分にとっては憎っくき害虫なのに「あんまり葉っぱ、食べるんじゃあないよ」って言い聞かせて、元の葉っぱに戻してしまったり・・・。
ファーブルは甘い! ボクのほうが虫の生態は詳しいよって仰ってましたが、だって、リンゴの命と家族の明日がかかっている虫の観察ですもの。気迫が違っていたと思います。
木村さん。
前歯は1本も無いし、身長も小柄な方で笑うと顔がくしゃくしゃになってしまう方でしたが、でも、メチャクチャかっこいい方でした。
木村さんは、無農薬で無肥料でのリンゴを実らせるというその1つのことを得るために、他の99のことは捨てた方。そして、想像を絶するような貧乏を重ね、苦労して、苦労して極めた極意を惜しげもなく、他の農家さんに教えてあげている。
その潔さが神々しく、圧倒される思いでした。

きっと木村さんに会った方は、いっぺんに木村さんが大好きになってしまうと思います。私はすでに木村さんの大ファン。できたら追っかけしたいくらい。
「来年も木村さんの畑に行くぞ~!OH!」と決意をしている月曜日の夜でした・・・・。