イギリスの学校給食
2007年 08月 16日
イギリスのイケメンシェフのジェイミーが、学校給食改革に乗り出した一部始終のドキュメンタリーなんですが、私は、イギリスの学校給食と家庭料理のあまりのひどさにのけぞってしまいました。
日本の学校給食は、イギリスのものに比べたら、少ない予算の中から、子供達の成長のために考えられた素晴らしいものですね。
アメリカの給食や子供達が持ってくるお弁当もひどいけど、少なくとも親たちは、野菜をなんとか食べさそうと苦心しているし、スーパーに行けば、日本より豊富なサラダバーがあったりして、ジャンクフードを排除しようと社会が戦っている感じはある。
だけど、イギリスは、学校も家庭も、食べることについて無知すぎる・・・・。
まず、中学校学校給食の材料予算が80円。育ち盛りの子供の1食の予算が80円ですよ。
それから、日本の給食は一律、全員が同じものを食べるけど、あちらは自分でカフェで選ぶようになっている。これは一見いいように思えるけど、子供って、何も考えず好きなものしか選ばないから、みーんな選んでいるのは、フライドポテトとソーセージ、みたいなものばかり。
しかも、たとえばマッシュポテトも、給食室でジャガイモをゆでてマッシュしたものではなく、ジャガイモの粉を混ぜただけ。あるいはいろんな添加物と混ぜて、子供が好むような型に型どってあげただけ。
肉やソーセージも、肉が使われているのは全体の30%くらいで、あとは様々な添加物で増量してハンバーグやソーセージの形にして焼いたもの。
子供達は、こんなものばかり毎日、毎日食べている。野菜は、全く存在しない。
ジェイミーが少ない予算で、様々に工夫して作った料理はことごとく不評。・・・不評というより、自宅で母親がちゃんと心を込めて作った料理を食べたことがない子供達は、それが何かさえ分からないので、手をださず、相変わらず、添加物満載のポテトとハンバーグを注文してる。
家から持参しているお弁当なんて、これまたひどくて、チョコバーとジュースだけ、といった内容。
イギリスでも最も食事の貧しい地域の小学校にジェイミーが行ったとき、7人の子供の母親が出てきたんだけど、彼女は、7人も子供がいながら、おそらくこれまで、まともに料理をしたことがない感じだった。彼女の子供の一人は、味もつけないパスタやパンしか食べられなかったし。
ジェイミーが彼女にスーパーに買い物に行かせるんだけど、アボガドやバジルの存在を初めて彼女は知ったほど。
PTAを集めてジェイミーが食事の大切さを話したとき、ある母親が、このあたりの子供は、晩ご飯にポテトチップを1袋与えられるような食事をしている。学校だけが唯一、まともに食べられる食事だから、しっかりしてほしい、みたいなことを言っていたけど、これって本末転倒。
とはいえ、きっと彼女自身、そうやって育ってきて、温かい家庭料理を知らないんだろうと思いますが。
イギリスの学校給食が崩壊して、約20年だそうです。
ということは、いま25歳以下のイギリス人は、まともな給食を食べてないってことね。
このままでいくと、イギリスはこれからどんどん成人病だの、原因不明の病気や、子供達の心と頭の発育不全が起こると思います。
ジェイミー・オリバーさんは、まだ28歳。彼は、ただ美味しいだけではなく、身体にいい食材、身体にい食事を子供達に食べさせようと、頑張っている姿には胸があつくなる。
美味しいだけで、身体にマイナスの影響を与えるような食事を作っているシェフや料理研究家が多い中、彼の姿勢は素晴らしいなと感心してしまいました。
