今回のルーマニア・ブルガリア旅行は、ブルガリアの旅行代理店を通して手配がされてました。
なので、ブルガリアから遙々大型バスとともに、ブルガリア人の凄腕ドライバーさんが来られてました。ところが、その凄腕ドライバーさん、ルーマニア語も英語も全く話せず。
ルーマニアでは、ご主人が日本人だというチャーミングなルーマニア女性、エレナさんがガイドでしたが、そのエレナさんとブルガリアのドライバーさんとのコミュニケーションは直接には出来ず。毎回、ブルガリア在住の日本人ガイドさんを通して。
通訳としてブルガリア在住の日本人ガイドさんも、ルーマニアからずっとご一緒でした。
ということでルーマニアでは、
*ルーマニア担当のエレナさん(日本語とルーマニア語と英語)
*凄腕ドライバーさん(ブルガリア語のみ)
*ブルガリア担当の日本人ガイドさん(日本語とブルガリア語と英語)
の3人が我々の旅のサポートをして下さるという贅沢な旅に。
トータル12日間、ずっと旅をご一緒したその日本人ガイドさんは元商社マン。現役時代は、まだ日本の商社が入っていないような国や土地に派遣され、日本の何がこの国に売れるか。この国の何が日本で売れるか・・・。ゼロから市場を開拓していった数々の武勇伝をお持ちの方でした。そしてモテてモテて困ったエピソードも多数あり(笑)。
名前を書いていいか分からないので、仮に青木さんと呼びますが、なんと、青木さんは自称25歳の御年83歳! 83歳で現役ガイドをしているのもビックリでしたが、これがまた自由な魂の方で(笑)。そして83歳とは思えない健脚でした。
ヨーロッパの道は石畳が多い。坂道も多い。そんな歩きにくい道をスイスイ歩く83歳の姿に私たちは何度も驚きました。そのたびに「83歳なのにお若いですねー」「スゴイですねー」とその若さを称賛していたんですが、毎回「まだ25歳ですからー」と返事が返ってくる(笑)。
数年前にブルガリア人だった奥様を亡くされ、広かった家から少し小さな(といっても140平米)住まいに移ったばかり。それに加え、黒海のお気に入りの場所に別荘を買おうかなぁとも考えていらっしゃいました。
83歳にして、新しい別荘を購入しようと思っているなんて、凄すぎる。世界中に友達がいるのと明るい性格で、どこに行っても楽しめる人間関係をお持ちのようですが、この人生に対する前向きさは私も見習いたいものです。
もしかしたら、若々しさの秘訣は、いつでも「自分は25歳」と言い続けていることなのかもしれませんねー。なんせ、2年前の出来事は「23歳のとき」、12年前のことを話すときには「私が3歳のとき」と徹底していましたから(笑)。
ガイド歴は20年ほどらしいですが、そのガイドらしくないガイドぶりに、私は自分の常識の枠を壊して楽しむしかない。「ガイドさんはこうあるべき」というこれまでの常識と期待をことごとく上回る自由奔放さを楽しませてもらいました(笑)。
例えば・・・
朝9時出発で8時55分ロビー集合だと私たちに前日告げた当のご本人が、8時45分頃にレストランに現われ、8時53分には、まだビッフェでご本人が大皿2枚に盛った朝食を食べている最中(笑)。ウケるー。
翌朝早い出発なのに、夜中近くまで参加者と紅茶を飲みながらお喋りに興じ、カフェインが効きすぎて眠れないので睡眠導入剤を飲んだら翌朝寝坊(笑)。我々はバスの中でガイドさんの登場待ち。
観光地で写真撮影をお願いしようとしたら、本人が被写体の仲間入り(笑)。
その時、その瞬間を楽しまれている。←常識人の私としては、翌朝やスケジュールを考えて、ちゃんとセルフコントロールをして下さいと言いたいところでしたが、まぁ、そんなに慌てる旅でもないしー。
日々発生するそんなエピソードも、青木さんの愛嬌ある笑顔と83歳という年齢に笑って許せてしまうのがご本人の徳かもしれません。
ちなみに青木さん。
20年ほど前に癌を患い摘出手術。その後は、塩抜きの食事+毎日大量の絞りたてニンジンジュースを飲む、という厳格なゲルソン療法を3年間、真面目にやってすっかり元気に。
「もっとやってもよかったけど、ゲルソン療法をやっていると友達づきあいができないから」と3年で止めたそうですが、ゲルソン療法をやっていると、風邪もひかないし、精力はつくし、肌つやは若返るし、身体的には有益だったそう。今は肉も大好きで、肉もガッツリ食べるそうです。
ゲルソン療法を知っている人はほとんどいないので、二人で歩いている時には、その話題で盛り上がりました。
バスの中でお聞きした青木さんの武勇伝。
世界中で仕事をしてきた青木さんの人間関係をスムーズに行かせる極意は「心からの笑顔」だそうです。そして、生きて帰れるか分からなかった難しい局面は、「相手を否定せず、相手を全面的に受け入れながら、自分も守る提案」をして切り抜けたそうです。
「人がどう思うか」ばかりを気にして、結局何もできない日本人が多いなか、天真爛漫なガイドで楽しませて下さった青木さん。いつまで現役でお仕事をされるか分かりませんが、いついつまでもお元気でー。
ルーマニアとブルガリアは、こんな坂道と石畳の道が続いていました・・・。この道を歩く、自称25歳の青木さん。←青木さんは仮称です。