ドイツ行きの飛行機の中で読もうと1冊の本を鞄に入れていました。小泉八雲の妻、節子さんが書かれた
『思い出の記』。ラフカディオ・ハーンこと小泉八雲との思い出を書いた短い文章です。
私は日本各地を旅していますが、好きな街の1つが島根県松江市。
小泉八雲記念館も、もう1度訪れたい文学館です。
節子さんが書き残した夫ハーンは、心から日本を愛した人でした。時代が江戸から明治に変わった頃。世の中の何もかもが大きく変わり、西洋様式が庶民の生活に入ってきた時代です。それでもまだ人々は着物を着て、まだ髪を結っていましたが、その当時の日本ですら、ハーンさんは「自分の好きな日本が消えていく」「日本には美しい心があるのに、どうして西洋の真似をするのか」と嘆いていたそうです。今の日本の様子をみたら、どれほど嘆かれることか。
自然を愛し、心やさしきハーンさんの様子が書かれていたところを2カ所ご紹介します。
熱い事が好きですから、夏が一番好きでした。方角では西が一番好きで書斎を西向きにせよと申した位です。夕焼けがすると大喜びでした。これを見つけますと、直に私や子供を大急ぎで呼ぶのでございます。いつも急いで参るのですが、それでもよく「1分後れました、夕焼け少し駄目となりました。なんぼ気の毒」などと申しました。子供達と一緒に「夕焼け小焼け、明日、天気になーれ」と歌ったり、または歌わせたり致しました。
私はよく朝顔の事を思ひ出します。段々秋も末になりまして、青い葉が少しづつ黄ばんで、最早ただ末の方に一輪心細げに咲いてゐたのです。或朝それを見ました時に「おお、あなた」と云うのです。「美しい勇気と、如何に正直の心」だと云うので、ひどく誉めてゐました。枯れようとする最後まで、かう美しく咲いて居るのが感心だ。賞めてやれ、と申すのでございます。その日朝顔はもう花も咲かなくなったから邪魔だと云うので、宅の老人が無造作に抜き取ってしまひました。
翌朝ヘルンが垣根のところに参ってみるとないものですから、大層失望して気の毒がりました。「お祖母さんはよき人です。しかしあの朝顔は気の毒しましたね」と申しました。

夕焼けが美しいと喜び、朝顔がまだ咲いているといって喜ぶ。木が切られたと言って嘆き、妻を大切にしない人がいたといっては怒る。ハーンさんは、なんと、心美しき、素直な人だったのでしょう。
節さんは子供の頃、松江にはじめて外国人が来たとき、他の子供たちが逃げたり泣いたりしているなか、臆することなくその外国人の軍人を見上げ、喜んだその人から折りたたみ式の懐中顕微鏡をもらった、という経験をしています。日本人とは顔も姿も違っていてもその人を「良い人」と記憶していたことが、後年、ラフカディオ・ハーンのもとに嫁ぐ伏線になっていたかもしれません。
ラフカディオ・ハーンさんが書いた「怪談」は節さんが子供の頃から聞かされていた民話やおとぎ話を夫に話して聞かせ、それを本にまとめたものです。
そう思うと、節さんとハーンさんが知り合い、結婚に至ったというのは神様の大いなる意志が働いているようにも感じます。
ずいぶん前ですが、NHKで、ラフカディオ・ハーンの生涯を描いたドラマが放映されました。節さんを檀ふみさんが。ハーンさんをジョージ・チャキリスさんが演じられていました。
先日たまたま松江出身の友人と話していたら、彼女のお母さんが、松江の言葉をお二人に指導したそうで、「檀ふみさんはとても美しい人だった」と言っていました。
このドラマは良質で心に響く内容でした。記憶に残っている人もいるのではないでしょうか?
ともあれ、節さんの本は、日本の美しさを再認識した1冊でした。薄いので、すぐに読み終わります。旅のお供に是非。
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