【財界】という雑誌の2022年秋季特大号の倉本聰さんのコラムに、こんな一文がありました。倉本さんは『北の国から』他、ドラマの脚本家として活躍された方です。
僕のような制作一筋、社会経済音痴の輩には深い事情はさっぱり判らぬが、高校時代の同窓生から漏れ聞いた当時の電通内に張り出されていたという広告戦略十訓というものは、当時の僕らが腰を抜かすような、鮮烈過激な檄文であった。
曰く
もっと使わせろ!
捨てさせろ!
ムダ使いさせろ!
季節を忘れさせろ!
贈り物にさせろ!
組み合わせで使わせろ!
キッカケを投じろ!
流行遅れにさせろ!
気安く買わせろ!
混乱をつくり出せ!
今読み返しても唖然としてしまうが、その後、数十年、現在に至るこの国の社会は、まさにこの社訓に見事に乗せられ、その通りに進んでしまったように思う。
まさに! 私たちは電通のこの戦略にしてやられてますよね。
高くても品質の良いものを購入し、あるいは気に入ったものを購入し、それを大切に使い続ける。あるいは着続ける。家族の歴史が刻まれたものとして、子どもや孫もずっとそれを使い続ける・・・。
質素でも豊か。そんな文化はどんどん廃れ、流行のものを安く大量に購入し、飽きたら捨てる、古くなったら新しいものに買い替える、という消費文化に、いつのまにか日本はなっていました。
欧米のクリスマスの様子を動画で見ていたら、大人は、自分以外の家族全員分のクリスマスプレゼントを準備。それをツリーの下に並べて、25日の朝は家族全員が自分あてのプレゼントの箱を開ける。それが何よりのクリスマスの楽しみ~と言ってました。
ということは、25日の朝は、アメリカでは大量の紙ゴミや箱ゴミが出るってことですね(笑)。気に入らなかったプレゼントはお店に行って交換できるので、無駄にはならないのがせめてもの救い。
そして、欧米の多くの(クリスチャンの)家庭では、生木のクリスマスツリーを購入します。世界中で、いったいどれくらいのもみの木がクリスマスツリーとして伐採され、そしてシーズンが終われば、ゴミになるのか分かりませんが(
ドイツでは毎年2500万本のクリスマスツリーが消費されるそうです)、毎年、同じもみの木をクリスマスツリーに使う人が増えるといいなぁと思います。
私は肉を食べないこともあり、感謝祭やクリスマスを祝うために、多くの七面鳥が育てられ、食肉となっていくのも悲しい・・・。

これは日本で売られているクリスマスツリーの生木
何か新しいものを買うのは快でもあり喜びです。でも、その快が過ぎれば、モノに溢れた自宅が出来上がり、断捨離や片付けに多くの意識も時間が取られていきます(我が家も同じ)。
経済的に豊かな知り合いの家に行くと、本当にモノが少なくすっきりしていました。置いてある家具やアートは私にはとても購入できない金額のものばかりでしたが、「断捨離」なんて、どこの世界の話?ってほど、モノの数は少なかったです。
6畳一間に住んでいた知り合いも、1つの部屋を昼と夜で使い分け、小さなちゃぶ台を仕事机や食卓として活用し、何もないけど、なんだかとても豊かな感じがしました。
つまり、モノが多い=豊かな暮らし ではないんですよねぇ。
来年2023年の私の1つの目標は、出来るだけゴミを出さない、ゴミを作らない暮らしをすること。
ささやかなことですが、納豆は経木入りのものを買う(発泡スチロール入りの納豆は買わない)、食が余ったときには繰り返し使えるミツロウラップや蓋つき容器で保存する、微生物系の洗剤を使う・・・など、選択肢があれば出来るだけ環境に負荷をかけないものを選んでいますが、都心に暮らしていると、食材1つ1つが個別包装で、日用品1つ1つがプラ入り。買った数=プラゴミの数なので、生きているだけで、ゴミがたくさん発生しますー。
食材や消費財は仕方がないとしても、
生活をよりシンプルに。
流行を追わない。
欲を刺激させられた買い物はしない
等々、電通の広告戦略十訓の餌食になってないか意識していきたいと思いますー。
その代わり、あの世と次の人生に持っていけるもの、例えば「経験」や「人との交流」にはもっと時間とお金を使いたい・・・。
海外旅行も1回くらい出来るといいなぁ。