この秋はちょっとした映画祭り。先週土曜日、昨日と2本映画を観てきました。
土曜日に観たのは
『すずめの戸締まり』。新海監督の最新作です。この映画の感想を書こうとするとネタバレ必須なので書きませんが、お勧めします。いろんなことを感じられるのではないでしょうか。
昨夜観たのは、沢田研二さんが主演された
『土を喰らう十二ヶ月』。2週間前のメルマガで私は辰巳芳子さんの『
いのちと味覚』という書籍を紹介しました。書籍の中で「菜の花丼」の作り方が紹介されているんですが、その作り方に、ご飯を炊いている間に、菜の花を摘みに走る・・・ってあるんですよね。
摘みに走るって・・・(笑)。
『土を喰らう十二ヶ月』もそんな感じ。家の周りで自分の食べ物を育て、あるいは自然の恵みがあり、台所と自分が食べるものがものすごく近い。精進料理もテーマの1つでしたが、一度も主人公がスーパーに買い出しに行く場面はありませんでした。
そして沢田研二演じる主人公のツトムさんは、きちんと丁寧に暮らしてる。小さな畑で野菜を作り、山に山菜を採りにいく。冷たい水で大根や野菜を洗い、薪でご飯を炊く。掃除も床や庭をホウキで掃き、雑巾がけをする(掃除機や使い捨てのフロアモップじゃなく)。
そんな暮らしを、では、自分が出来るかといえば、とても真似出来そうにはありませんが、横浜のビルに囲まれて生きている身としては、その暮らしそのものが究極の豊かな時間、贅沢にも思えました。
映画を観ながら思い出したことが1つ。
まだ20代はじめの頃。仕事帰りにスーパーで買い物をし、その買い物袋を両手に持って歩きながら、私は暗澹たる気持ちがしていました。私はこの先50年以上、こうやって食べ物を買い、料理をし、食べて、そして、片付けることを毎日毎日、し続けなければいけないんだと。
幼い頃、私は曾祖母に会ったあと「これから自分はあと80年以上も生きなければいけないのか」と絶望感しか感じませんでしたが、一人で暮らしはじめるようになると、それにプラスして、生きるためにはこの先、毎日、食事を作り続けなければならない、食べ続けなければならない・・・。その月日の長さにも圧倒されてました。
きっと家事の苦手な方は同じことを1度くらいは考えたことがあるんじゃないかと思います。
人が身ぎれいに、ちゃんと暮らすために行う日々の家事。これをどれだけ丁寧に出来るか。雑事ではなく、大切なこととして、どれだけ心を配れるか。それが、その人と家をどれほど美しくさせるかの秘訣なのかもしれませんー。
最後に・・・
*奈良岡朋子さんの登場にビックリ。90歳を過ぎていまだ現役の女優さんとしてスクリーンに!しかも凜としてカッコイイ! すごいことです!
*ツトムさんが炊くご飯の量、作るおかずの量が一人分としては、半端なく多かったんですが、彼はそれを温めながら食べ続けたって設定なんでしょうかー(笑)。