幸福遺伝子のスイッチを入れる28日間のプログラム
2022年 03月 04日
●不安感の克服とオーバーソウル
先の見えない状況に適応し力強く生きてゆくためにもっとも重要なことは、日頃の不安感や恐怖感の克服である。こうした否定的な感情を克服し、どんな状況でも楽観できるような強い精神を持っていれば、何があっても怖くはないし、どんな状況の変化にも適応できるはずだ。
だが、不安感と恐怖感を乗り越えるのは容易ではない。ちょっとでも何かあると、パニックしてしまうのがいつもの状態だ。こうした感情を克服し、泰然自若とするためにはどうしたらよいのだろうか?
洋の東西を問わず、多くの信頼できる哲学者や宗教者が共有する認識がある。それは、人間の心の深い部分にはハイアーセルフとかオーバーソウルと呼ばれる本来の自分自身が存在しており、自分が神や仏の一部であるという認識だ。いわゆる内在神や内在仏の考え方である。(中略)
●オーバーソウルの活性化はすごい歓喜をもたらす
そして、オーバーソウル(内在神、内在仏)が活性化するとどうなるのだろうか?それはものすごい歓喜と幸福感が込み上げてきて、不安感や恐怖感などの否定的な感情を全部洗い流す。
いろんな哲学者や宗教者がこれを直接体験しいる。19世紀前半のアメリカを代表する哲学者、ラルフ・ワルド・エマソン(1803年~82年)は1836年の著作、「自然について」の中で次のように述べている。
「たそがれ時に、どんよりした空のもとを、雪でぬかった、荒涼とした共有地を横切った時、完全な歓喜を経験した。私は、こわくなるほど、うれしい。私は透明な眼球となる。私は無であり、一切を見る。“普遍的存在者“(神)の流れが私のなかを循環する。私は神の一部である」
「広漠とした大地に立ち、頭をさわやかな大気に洗わせ無限の空間の中に昂然ともたげれば、すべての卑しい自負心は消え失せる。私は一個の透明な眼球になる。私は無でありすべてを見る、普遍的存在の流れが私の全身をめぐり、わたしは神の一部だ。」
さらに、これと同じような感覚は13世紀の鎌倉期の偉大な仏教者、日蓮も体験している。
「始めて我心本来の仏なりと知るを即ち大歓喜と名く所謂南無妙法蓮華経は歓喜の中の大歓喜なり」(御義口伝)
現代語訳
「初めて自分の心が本来の仏であると知ることを、すなわち大歓喜と名づける。いわゆる南無妙法蓮華経は、歓喜の中の大歓喜である。」
また、次のようにもある。
「我等行者の外に阿難之れ無きなり、阿難とは歓喜なり一念三千の開覚なり」(御義口伝)
現代語訳
「われわれ法華経の行者以外に阿難(釈迦の一番弟子)はないのである。阿難とは梵語で歓喜という意味である。われわれが一念三千の当体である。仏であると開覚して、歓喜することをさすのである。」
●オーバーソウルの活性化はシンクロニシティーをもたらす
さらに、このような歓喜と充実感は主観的な気分に止まるものではない。充実した歓喜と幸福感は、さまざまなシンクロニシティーを引き起こすことで、現実の世界を、歓喜と幸福感という心理状態に合致するように変化させてしまう力を内在させているという。
シンクロニシティーとは、一見偶然と見える出来事が続けて起きることを指す。ユングはいくつかの例をあげている。
「ある研究者が高度に技術的で分かりにくい問題にぶつかっていて、情報が得られず困っているとき、ある基金募集のパーティーに出席したところ、たまたま隣の席に座った人がちょうど必要な情報を提供してくれた。」
「ある女性がある町にやってきて、昔の同級生に連絡をとろうとしたけれども住所がわからず、混雑したエレベーターに乗り込んだところ、たまたまそこに彼女が立っていた。」
こうしたシンクロニシティーは誰しも経験しているだろうが、このシンクロニシティーの力が、オーバーソウルとともに一度解放されると、どうやっても変化しないように見えた現実は音を立てて崩れ落ち、幸福感と合致した現実が目の前に出現するという。
●発見された遺伝子、「VMAT2」
我々に内在しているこのようなオーバーソウルが活性化できれば、これほどすばらしいことはない。どんな困難な状況にあっても、安心して楽観的であり、そして現実を変化させる内在的な力を自らが持つことになる。だが、どうしたらそれを活性化できるのであろうか?
12年ほど前だが、遺伝子工学で大きな発見があった。幸福感の源泉となる遺伝子の一つが発見されたのである。
それは「VMAT2」と呼ばれる遺伝子だ。「VMAT2」はすべての人間が持っているようだが、普段は活性化せず潜在的な状態に止まっているという。
それが一度活性化すると、宇宙との一体感を感じ、生きている一瞬一瞬が満たされた気持ちになり、基本的に自分の存在が幸福である強く実感するようになるという。こうした特徴が、祈りによって出てくる心理状態に似ていることから、「VMAT2」は「神の遺伝子」とも呼ばれている。(中略)
●どうやってオーバーソウルを活性化するのか?
ではオーバーソウルのスイッチを入れる方法はあるのだろうか?おそらく、ヨガのような実践やさまざまな祈りの方法は、「VMAT2」のスイッチを入れる有効な方法なのであろう。
最近アメリカである本がヒットしている。それは「幸福の遺伝子」という本だ。生物工学のジェームス・バード博士と心理学のローリー・ナデル博士の共著である。
この本は、「VMAT2」を含めた幸福遺伝子をオンにする方法を書いたものだ。それは、「28日のプログラム」と呼ばれるイメージトレーニングである。
●幸福遺伝子のスイッチを入れる28日間のプログラム
第1週 開放
1日目
30秒から3分 「アー」と息を吐くゆっくりと息を吸い、身体のストレスをすべて吐き出すように「アー」と叫びながらゆっくりと息を吐く。
やらないリストを作成する
自分がしなければならないけれども嫌いなことを、リストにして書き出す。「アー」と叫びながら息を吐き出すとき、「やらなくていいんだ!」という安心感に浸るようにする。
2日目、3日目、4日目
30秒から3分 カラーブリージング
どんな色が自分をもっとも安心させ、リラックスさせるのかイメージしながら息を吸い込む。考えなくてもよい。色を自然に思い浮かべること。そして「アー」と叫びながら息を吐き出すとき、ストレスが別な色になって身体から抜け出ることを想像する。
5日目と6日目
5分から10分 落ち着かせる儀式キャンドルを灯す。好きな音楽をBGMにしてもよい。「自分の細胞が活性化している。力がみなぎってきた」とイメージしながらキャンドルをしっかりと眺める。
7日目
7分から10分 風船を使う
実際に風船を使ってもよいし、イメージだけでもよい。風船にいやなことをすべて書き出すこと。風船を外に持ってゆき、放つこと。空に上がる風船を見て「嫌なことがすべて去ってゆく」とイメージすること。風船を破裂させてもよい。
第2週目 再起動
1日目
3分から5分 スムーズな流れの体験
自分がなんの困難もなくものごとを実現し、うまくいったときのことをイメージする。それがどのような体験でそのときどのような感覚だったのか、できるだけ具体的にイメージすること。
イメージするとき、耳たぶを握るかこぶしを作ること。体験のイメージが頂点に達したら、こぶしをしっかりと握るか、耳たぶをつかむこと。これが体験のスイッチになる。耳たぶをつかむか、こぶしを握り、同じ体験をイメージする。
2日目、3日目、4日目
3分から5分 カラーブリージングとスムーズな流れの体験
先に説明したカラーブリージングとスムーズな流れの体験を続けて一緒に行う。
5日目と6日目
5分から10分 落ち着かせる儀式
キャンドルを灯し、「私の無意識は幸福をもたらすために遺伝子を活性化している」と強くイメージすること。
7日目
1分から2分 逆説的な再起動
自分が変えたいと思っている悪い癖を想像し、それをイメージすること。
第3週目 リラックス
第1日目
笑うこと
とにかくなんでもよいから、面白いか楽しかったことを思い出し、声を出してとにかく笑うこと。
2日目
10分から20分 魂を追いつかせる
外に出て、散歩やドライブ、そして軽いスポーツをしてリラックスすること。
3日目と4日目
1分から3分 感情から自由になる
利き手で、反対の手の小指と薬指の間を空手チョップのようにして切り込む。そのとき自分の嫌な部分を思い浮かべ、「自分は嫌な部分はあるけども自分を受け入れる」と言う。次に鏡に向かって自分の顔をみながら、「私は自分を許す。人間として自分を受け入れる」と言うこと。
このときどう感じたのかメモしておくこと。
5日目と6日目
5分から10分 落ち着かせる儀式
キャンドルを灯し、「私の細胞と遺伝子は理想的なバランスにある。私はすべての細胞と遺伝子に幸福な気持ちを送る」と言うこと。
7日目
休みを取る
第4週目 新たな喜び
1日目
20分から1時間 自分自身の祈り
すべての祈りには次の3つの要素がある。
1)祈りの開始
2)願いを祈る
3)終了の祈り
自分にとってなにが聖なるもので、自分の人生に意味を与えるのかよく考え、自分にとっての聖なる対象に向かって、上の3つの要素の祈りを捧げる。
3日目
一日中 理由もなく
とにかく自分の人生を祝うこと。自分の人生が幸福感に満ちあふれており、身体から幸福感があふれ出していることを強く実感すること。
そして、困難な状況におかれている友人や知人にこちらから連絡し、手を差し伸べること。
4日目
5分から10分 心が本当に望むことを発見する
まず、「アー」と息を吐いたり、カラーブリージングをしたり、また自分の祈りを行ったりして心を落ち着かせる。
落ち着いたら、自分の心に「本当に望んでいることはなに?」と聞いて見る。心が反応したら、その答えをメモに書き留めておく。
5日目と6日目
落ち着かせる儀式
キャンドルを灯し、「私の幸福感と喜びが私の遺伝子を活性化しています。私は自分が意識的に進化することを選択します」と言うこと。
7日目
逆説の儀式
あなたの幸福感や愛していることをどんどん他の人々に差し出しましょう。メールや手紙で人を励ましたり、クッキーのような小さなプレゼントをあげてもよい。あなたの幸福感を差し出せば差し出すほど、あなたの幸福感はもっと増加する。
以上である。