漫画『テルマエ・ロマエ』の作者、ヤマザキマリさんの体験的人生論。
『テルマエ・ロマエ』は映画だけで、原作の漫画は読んでないのですが、こんな自由奔放な人生を送られた方だったんだーと、半分羨ましくもあり。
表紙に「地球サイズでみれば、悩みなんてハナクソ」と(笑)。
私も子供の頃、「宇宙の大きさと時間の悠久さからすれば、人間の悩みなんて「蚊の鼻くそ」みたいなものである」という哲学的発見(!)をして、自分の悩み ⇒ 蚊の鼻くそより小さい説を唱えているので、
この表紙の言葉には大きく同意です(笑)。その時のことは、2007年にメルマガに書いてました(こちら)。
そして、本文に入る前の前書き部分で、再び同意したのが、大自然と旅、本が人を成長させてくれる、というところ。大自然は完全に不足していますが、旅と本は私の人生を充実させてくれている大切な要素ですから。
ヤマザキマリさんの本から抜粋・・・。
『私の場合、早いうちから母が「大自然と旅、そして書物が、娘を育むために大事な要素だ」と気がつきました。(中略) 母がそんなレールを敷いてくれたせいもあって、私は14歳で初めてヨーロッパにひとりで旅した時から今に至るまで、さまざまな国を旅してきました。また、いろいろな国に暮らしてもみましたが、これもふくめて全て長い旅のような経験でした。(中略)
今も、自分と向き合う時は、周辺の電子機器の電源を切って本を読みます。それでも何か足りないと思う時は、荷物をまとめて旅に出る。生活習慣も考え方も違う人々の暮らす土地へ行って、自分の生きる世界が果てしなく大きいことを確認する。
頼る人が自分以外に存在しないひとり旅では、虚栄心を傷つけるような、大失敗も恥ずかしい思いもたくさん背負わされるけど、そういった経験が後に何よりも強靭な肉や血になるという実感も、もれなくセットでついてくる。(以下略)』
今年前半に予定していたほとんどの宿泊系のイベントは中止になってしまいましたが、秋以降少しずつスーツケースを持ってどこかに行く旅が復活しています。
いずれも何かのイベントの「参加者」という立場ですが、旅の醍醐味はなんといっても、参加者ではなく、当事者となる一人旅。それが目的地までのひとり旅であろうと、たった一人、知らない街に降り立って、ホテルや待ち合わせ場所に行くまででも、冒険はできます。
現代人は、スマホの中で世界が完結して、体験した気になる、行った気になる、ということもできますが、それだと単に脳を使っただけ。テレビを消して、スマホを切って、日帰りでいいので、知らない街に行くという冒険。それは何よりも自分という人間を知り、心を成長させてくれる方法です。
私はどこかに行くときに、つい「目的」を作って、その目的のために行ってしまいますが、無目的な、行き当たりばったりの、なんにもしない旅をしたい気分。
ぽっかりと心を空白にして出かける旅、来年は季節ごとに1回ずつでも、しようかな。