Netflixに登録している人がどれくらいいらっしゃるか分かりませんが、テレビを見ずとも、最近のオンライン視聴のサイトには、優れたドキュメンタリー番組があります。
先日視聴した『キス・ザ・グラウンド』もその1つ。
地球環境の未来に関する番組でしたが、地球を砂漠化させる大きな要因が農業、という事実に心底驚きました。
化学肥料や農薬が土地を荒らしているということだけではなく、大地を枯らす要因がそもそも「土を耕すこと」だなんて! 人が種を撒くために鋤(スキ)を使い始めたことが、土をダメにした、土を耕すことは、最も有害な農作業だと番組では訴えていました。
土を耕すことで、土壌内に含まれていた炭素が大気に放出されてしまう。健康な土は水と二酸化炭素を吸収していますが、土を耕すことで土壌内の水分と二酸化炭素が空気中に放出され、土が枯れていく。そして乾燥した土が土埃を起こし、徐々に砂漠化する…。砂漠化した土地は気温を上昇させ、昼夜の寒暖の差も激しくなる・・・。
日本の農業も単一農業で、畑を耕し、1つの畝には1つの作物しか作らないということが主流です。植えたもの以外はことごとく雑草として排除。そして、日本各地で山を崩し、大規模な太陽光発電のパネルも設置されています。聖地巡りをしている友人が、かつて聖地だった場所に行くと、鉄塔や発電所などが立っていることが多い、とも言っていました。
緑を壊し、聖地を壊し、私たちはどこに向かっているのでしょうね。
番組では、もちろん微生物のことにも言及されています。
我々の身体の1%だけが人間で、残り99%は微生物。食べ物を食べるとき、よく噛む必要があるのは、胃の中の微生物がその食べ物をよく消化できるようにするため。消化するのは「胃」ではなく微生物。農業に農薬を使うことは、土壌の微生物を滅ぼすだけではなく、私たちの体内の微生物をも滅ぼしてしまう…。
農業の在り方が私たちの身体にも、そして地球環境にも大きく関与しているなんて。
このドキュメンタリーでは、希望も描かれています。
家庭から出る残飯を堆肥化するシステムがサンフランシスコでは稼働をしていますし、土を枯らさず、動物を農場に放つことで有機化している農業もアメリカでは生まれています。砂漠化していた土壌が短期間で緑の楽園に変わっていった映像も映し出されていました。
私の周りには、無農薬や有機農業をしている方も多いです。稲を昔のように「はざかけ」して乾燥させている農家もたくさんいます。アメリカの巨大農場と違って、日本の農業は少人数でやっている小規模なものが多いですし、降水量も多いので農業によって国土が少しずつ砂漠化しているといったことはないと思いますが、たとえ日本がセーフでも、地球全体で対策をとっていかなければならない問題です。
このドキュメンタリーのナレーションは、ウディ・ハレルソンという俳優さんが担当していました。ご自身の肩書が俳優・環境活動家。番組中でも、パトリシアさんという女優さんが地震に見舞われたハイチに飛んで、コンポストトイレの設置をサポートしていました。日本では、影響力のある俳優さんや歌手が、社会的な活動をすると叩かれることが多いなか、堂々と自分の主張をし、社会貢献をしている姿というのは美しいです。
長いドキュメンタリーの中身をすべてご紹介するのは難しいので、農業に従事している方は是非ご覧下さいー!
Netflixでご覧になれます。