山元加津子さんの『リト』が出版されました！

元特別支援学校教諭で、週末になると、全国で講演活動をされてきた山元加津子さん。

加津子さんのことを初めて聞いたのはもうずいぶん前です。

富山大学理学部を出ている才媛ながら、加津子さんのあまりの方向音痴ぶりと世間知らずぶりに驚いて、すぐに付き人になってしまった静岡の小林さんから「すごい人に会ったよ。そのひとは、電車の中で喧嘩しているヤクザさんに抱きついて友達になっちゃうんだよ～」と電話で聞いたような気がします。

もともと時間があると自分で洋服を作ったり、楽器や靴を作ったり、イラストを描いたりと何か自分で作り出すのが大好きな方でしたが、なんと、教諭を退職されたあと、地元石川県の小松市の森の中の一軒家を購入。自分たちで手入れして、ステキな「モナの森ハウス」まで作ってしまいました。

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いっけん、恥ずかしがりやで、もじもじとすぐに人の後ろに隠れてしまいそうな加津子さんなのに、その加津子さんのいったいどこにそんなパワーが宿っているのか、次には何を作るのか。いつもびっくりです！

そして、コロナですべての講演活動がキャンセルになった春から、今回のコロナもテーマに入れつつ、加津子さんの思いをたくさん込めた寓話を執筆。それだけじゃなく、その本を出すために、自分で出版社もつくっちゃいました。

加津子さんの付き人をしている静岡の小林さんは、いつも加津子さんを師匠とも神とも呼んでますが、こうやって加津子さんのことを書いていると、うだうだと毎日をすごしている自分が恥ずかしくなってしまいますねー。

その加津子さんの書かれた美しい『リト』という寓話がこのたび無事出版されました。

私もさっそく読ませていただきました。『星の王子様』や『モモ』にも通じるスピリットを感じます。

コロナという「はやり病」が流行している今という時代に、加津子さんが伝えたい、思い出してほしいと願っている大切なことが、まるで乾いた喉を潤してくれる１杯の水のように心を潤してくれました。

どんなお話か、冒頭を少しご紹介。

『リト』という名前のお腹を空かせた犬が行く先々で出会った人や動物たちとの会話から物語は始まります。

まっすぐな長い農道を、やっとのことで進んでいくと大きな牧場がありました。サイロのある大きな家の前に、あごにりっぱな髭をたくわえた太った男の人がいました。
男は、羊よりも大きな毛のふさふさした白い犬を叱っているようでした。

「ちゃんと仕事をしろ！いったいお前は羊さえ追えなくなったのか！」
犬は男のそばで、うなだれるようにして座っていました。

リトはおじさんを見上げました。「おじさん、ボクお腹が空いているんです。何か食べ物を分けてもらえませんか？」男はリトをチラッと見て、吐き捨てるように言いました。

「そんなちっぽけじゃ羊も追えない。狼を追い払うこともできない。役に立てないものにメシはやれない」
「役に立つってどういうこと？　役に立たないってどういうことですか？」　（中略）

年老いた犬がリトに、ため息交じりに言いました。
「私はもう年をとって、羊も追えず、狼も追い払えない。役に立たなくなったんだ。だからもうここにはいられない」

リトにはやっぱり分かりませんでした。
「羊を追えなくても、狼を追い払えなくても、一緒に昔話ができるよ。朝、おはようと言えるよ。それは役に立つということじゃないの？」

男は怒ったように言いました。
「昔話とか、朝、おはようが言えるとか、それがいったい何の役に立つんだ！」

でもそのあと、まるで何か大切なことに気がついたみたいにハッとして、とても悲しそうな顔をしました。

役にたつってどういうこと？ってハッとしますよね。

心がまだ柔らかい中学生、高校生の子供たちへの贈り物に。もう少し小さな子供たちには読み聞かせで。そして、私のように、すっかり心が固くなっている(笑)大人の人には、なおさら是非！

アマゾンでは売ってないようなので、下記にご注文ください。

『リト』山元加津子著　１冊　１,３２０円

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山元加津子姫と、姫の守護臣の皆様