脳の本番は56歳から、というのはなんと嬉しいニュースではありませんか。思わず、タイトル買いしてしまいました(笑)。
『成熟脳』
『妻のトリセツ』がベストセラーとなった著者が書いた年代別の脳の話。
この本を読むと、年齢を重ねることが楽しみになりますよ。なんせ、記憶力ではない脳の成熟が50歳すぎるとおこり始め、90代を過ぎると、脳は別の領域に達するらしい。記憶力は28歳をピークに衰えても、その後の様々な人生の荒波を超え人生を歩んできた脳は56歳から円熟を始める。
56歳を過ぎるとその人の脳の「変換器」は変えられなくなる。起こった出来事を「ネガティブ変換」してしまう56歳の人がいたなら、その人はその後ずっとネガティブ思考の人であり続ける確率が高いので、そういう人の前からはスタコラさっさと消えた方がよいらしい(笑)。
そして、嬉しいのは、現役のまま90代に突入すると(つまり、ぼんやり過ごしているのではなく、90歳を過ぎても脳を使った活動を続けていると)、脳の一部が若返るという所見まであるらしい。成熟した脳と初々しい感性を兼ね備えた90代の人たちは、いったいどんなふうに世界を見ているのでしょう。
90代現役の大学の先輩は、こうおっしゃった。「80くらいまでは、この世をカーテンの向こうにみているようなもの。80半ばを過ぎると、カーテンが開くのよ。お楽しみに」
脳の成熟に必要な要素は、長く生きること、たくさん泣くこと、転んでも傷ついて立ち上がること。テレビの前、パソコンの前でずっと過ごしていたら脳は成熟しないのです。
世代別、性別の脳のエピソードはどれも興味深い内容でした。少し色っぽいエピソードもあるのでパートナーとの思い出づくりにも役立ちそう・・・(笑)。
でも、テンプルのお客様には、おそらくこの部分が興味をひかれるだろうなと、一部、抜き書きします。
著者の息子さんが急にチベットの高地にバイク旅行に行ってしまったというエピソードの後に書かれています。
ヒトの脳は遠く離れた脳とも連携する。
2004年ごろだったと思う、東大の研究グループが興味深い研究成果を発表した。以心伝心が起こるとき、遠隔地の2つの脳が40Hzの整数倍の周波数で連動していることがわかった、というのだ。
それに30年ほど先んじて、東京医科歯科大学の角田忠信先生のもとでは、ヒトの脳が40Hzの整数倍の周波数の情報に、特別な反応をすることがわかっていた。なぜ、40Hzの整数倍の情報にすべての脳が反応するのか、長らく解けない謎だったのだが、遠隔地の脳と連携するためのチャネルだったのである。
つまり、思いは、遠隔地まで届く。
(中略)
だから私は、「静謐な平常心」を息子に届けようと思い、彼が高地にいる間、ときおり瞑想して、瞑想の終わりには彼を思った。あれこれ心配するわけじゃない。不安感を届けても、何らアシストにならないからだ。それどころか「崖から落ちるイメージ」が届けば、彼を崖から落とすかもしれない。必要なのは、静かな集中と広い展望。それを私の脳に起こしておけば、彼を守ってあげられる。
大切に思うひとたちに届くのなら、私の脳は静謐でなければならない。邪悪だったり、イラついてはいられない。何せ、冒険心にあふれる息子を持っているので、かなり切羽つまった平常心確保なのである。
(中略)
そんな話を、クリスチャンの友だちにしたら、「それが、私たちの祈りなのよ」と微笑んだ。「私たちは、ただ祈る。それが大切なひとや、まだ見ぬ同胞をも守ると信じて」
知らない人にでも祈りや思いは届きます。いわんや、親子や恋人、仲のよい友達はなおさら。心配な時には、心配な気持ちでいるより、その人が安全で健やかでいることを思って平安な心でいる。その方がよっぽどその人の安全に寄与します。それが科学的にも検証されていたんですねぇ。
宇宙との交信は、7.8Hz。そして人間同士の心のやりとりは40Hz。
まだまだ色んな特定周波数がありそう。