作家の田口ランディさんの呼びかけで、先日、牧師でホームレスの方々の支援をされている奥田知志さんのオンライン講演会がありました。
私は申しこんでいたのに、うっかりして最後の10分ほどしかライブでは参加できなかったのですが、よどみなく話される内容は、ご自身のこの30年の積み重ねの中から出てきた言葉ばかり。そして牧師さんだけあり、聖書の引用がところどころ入り、ひきこまれていきました。奥田さんはテレビや雑誌に何度も出演されていらっしゃいますが、私はランディさんのFacebookで今回はじめて知りました。

奥田さんのお話を少しだけ書き出してみます。
あの日には帰れない。もう元には戻れない。
実際、コロナ以前の社会は戻りたいような社会だったか?
今起こっているのは、コロナ以前にすでにあった問題が浮上しているだけ。
Stay home:家でじっとして行動の8割を制限しよう、そう言われて多くの方々がstay homeしている。でも、Stay homeできたのは、Out homeの方々、家にじっとできない方々、外でお仕事をしてくださった方々のおかげでStay homeできている。
神はアダムを造ったあと、人は1人で生きていくのはよくないとイブを造った。助け合うのが人間。
最初の段階で、トイレットペーパーが無くなったときの人々の行動が痛かった。助けあわなければならない時にこうなってしまったのか…。無くなったのはトイレットペーパーじゃない。私達の中から他者がいなくなった。自分だけが良ければよいという行動が露呈していた。
灰谷健次郎さんの本でこういう一節があった。
いい人ほど勝手な人間になれないから辛い。動物と人間の違いは「人間は他人の痛みを自分の痛みのように感じる」こと。いい人というのは、自分の中にどれだけ他人が住んでいるかで決まるのではないか。
トイレットペーパーを握りしめて「助かった」と思った人の中からは他人がいなくなっていた。
不要不急とは何か?ものすごく忙しかった日々が懐かしいけど、そこにどれだけ必要なことがあったか。コロナ以前は、自分にとって不要不急が何か分からないまま忙しく暮らしていた。その忙しい日々の中で必要なことがあったのか、急いででもしなければならないことをやっていたのか。不要不急が自分とって何なのか。この時期、自分の人生の優先順位を考えている。
自分にとって不要不急のこととは何なのか....。これと同じセリフを少し前、タオイストのタリカさんからも聞いていました。タリカさんはコロナ流行と時を同じくして怪我で入院。二重に身動きできない状態のなか、自分のこれまでを見つめ直していたそうです。「あんなに忙しがって飛び回っていたけど、何を私は忙しがっていたんだろう。電車の中が唯一ホッと一息つける場所だったあの日々はクレイジーだった」と。
私は3月末からゴミ出しくらいしか出ない日々でしたが、オンラインのミーティング、講座、資料読みと仕事とであっという間に1日が終わる1ヶ月半。外に出る「不要不急の用件」はないものの、かえって休日なくずっと忙しい・・・。コロナ後の自分の人生を見つめ直す思索の日々になるどころか、結局ずっとパソコンの前から離れられない日々。こんな日々が果たして良かったのかどうだったのか・・・(涙)。
そして、奥田さんのお話は、相模原で多くの障害者の方々を殺傷した被告についても話が及びました。奥田さんは直接植松被告と会って話をしたことがあるそうです。
障害者殺傷事件を起こした植松被告は、障害者は不幸、彼らは廻りの人を不幸にしていると言い切っていた。でも障害者も、彼らを世話をするのは大変だけど不幸ではない。人は1人では生きていけない。大変だけど不幸じゃない。生きているという実感がそこにはある。大変と不幸と取り違えてはいけない。
普遍的価値は生きていることに意味がある。コロナ後は、人に助けてといえる社会にしたい。
こんな人間でも見捨てられないというメッセージを受け取ってもらえる社会にしたい。
憲法13条に、「全て国民は「個人」として尊重される」という一文がありますが、奥田さんによると、今、政府は、この「個人」という言葉を「人」に変え、「人」として尊重される…に書き換えようとしているらしい。「個人」を「人」に変えるだけで大きく変わるものがあります。「人」として尊重はしても「個人」としては尊重しなくていい社会を現政権は目指している。「個人」が尊重されることは現政府にとってどれほど不都合なのか…?
1時間ほどのZOOM講演会でしたが、そのうち38分がyoutubeにあがっています。そして茂木健一郎さんが奥田さんのエピソードをお話されています。それもぜひ聴いて下さい。こういう方がいて下さるおかげで、私達はぬくぬくとStay homeできているんですね。本当に。
奥田さんは、コロナ倒産で家や仕事を無くしてしまう方がこれから増えるであろうということを懸念され、そういった方々を支援する1億円のクラウドファンディングを立ち上げられています。3000万円を上限として、私達が寄付をした金額の同額が村上財団から寄付されるので寄付金が2倍になります。
クラウドファンディングは
こちら(7月27日23時まで)
奥田さんは牧師さんなので、日曜日の礼拝の宣教をYoutubeで聴くことができます! 今、教会の宣教がこうやってライブ配信されているんですねー。これも始めて知った。