「エンドゾーム&脱穀」の図を見ながら読んでね
図の上の方のインフルエンザウイルスと書いた下に、丸にイガイガが付いたものがありますね。
このイガイガはスパイクといって、(インフルエンザとコロナではこのスパイクの種類が違う)このスパイクがわれわれの細胞にくっつくのです。そして、くっつく場所がそれぞれのウイルスによって決まっていて、インフルエンザウイルスの場合は、我々の(※1)気道にある上皮細胞にくっつきます。図の右下半分を覆う黄色い線で囲まれた水色のところがありますね。黄色い線を上皮細胞と思ってください。 そこにくっついたイガイガは水色の細胞内に入り込みます。イガイガが風船のようなものの中に入り込んでいますね。エンドソームと書かれたところがそうです。この風船の中のPHが低下すると、イガイガのところのゲートが開き、H+がイガイガの内部に取り込まれ、それを契機に、ウイルスの殻が破れます。このことを「脱穀」というそうです。そう、お米の脱穀と一緒で、殻が取れるということみたいです。 3の番号が振ってある下向きの線の先がその脱稿状態のウイルスです。


脱穀されると、ウイルスの中のRNAが細胞の中に放出されてしまいますが、この脱穀ができるのは宿主(人間)の細胞が酸性であることが条件。つまりアルカリ性の時には脱穀不能なんです。そして、上の図ではいったん細胞の核に入るとなっていますが、すでにRNAなので直接ゴルジ体を通過してタンパク質を合成し、人の細胞の材料をつかいながら、自分自身(ウイルス)を複製し始めます。
自分の複製を作り、そればかりか、自分のRNAの情報を使って自分に必要な材料を作り出し、複製した自分を守る細胞壁まで作っちゃうんです。 盗人猛々しいとはこのことです。そして、入り込んだ人間の細胞を破って次々と新たな複製を増産、増産、また増産と凄いことになっちゃうんです。見方を変えると、ウイルスはすごく賢くて、素晴らしい機能を持っているんだな――と感心してしまいます。でもご安心ください。
人間には神様が素晴らしい力を授けてくれているのです。
それが免疫力です。
ウイルスからすると、エンドソームが脱穀するには風船内が十分な酸性であれば、脱穀ができる。
人間からすると、アルカリ性に身体を、細胞を保っておけば脱穀できない…つまり増殖できないということになるので。