現在91歳。現役のセックス&リレーションシップのセラピスト、ドクター・ルース。
彼女の人生に焦点をあてたドキュメンタリー映画の上映が始まっています(上映館とスケジュールは、
こちらでご確認下さい)。私は昨日、新宿ピカデリーで観てきました。日曜の最終回でしたが、8割以上の席は埋まっていました。
ホロコーストで両親を亡くし、10代をひとり生き抜いてきたドクター・ルースは、心の奥深い部分に誰にも言えない哀しみと孤独感を抱えながらも底抜けに明るい。二級市民と差別される側だったから、エイズや同性愛、中絶で悩む人たちの側に立ってずっと偏見と戦ってきた方です。
80年代、当時のアメリカは、同性愛やエイズといった話題はもちろんのこと、セクシャリティについての話題も表立ってはタブー。偏見の強い社会のなかで、誰にも相談できず悶々と暮らしていた人たちにとって、ドクタールースの発言は生きる希望と意味を見出すものとなったそうです。
映画では、ドクターがずっと心に秘めてきた両親のこと、ナチから逃れるために一人、スイスで疎開して共同生活をさせられていた10代の頃のこと(現地の子どもたちの世話をしていたそうです)、戦後、パレスチナでスナイパーとして働いていたときのこと。そんな過去が少しずつ明らかにされていきました。
今の底抜けに明るいドクターの姿と、孤独のなかで生きてきた子ども時代の映像。そしてスイスに疎開していた頃にドイツから届いていた両親からの手紙は胸に迫るものがありました。
孤独だったからこそ、触れられること、愛されることの大切さがよく分かったというドクターの言葉は、クリアで優しい。
これはセックスの映画じゃなくて、人生賛歌の映画かな。
小柄(なんと、身長140センチ!)、ドイツ語なまりの英語、ユダヤ人
コンプレックスになりがちな全ての要素が、彼女を個性的でチャーミングにみせています。
美人で背の高いスタイリッシュな女性じゃなかったことが幸いして、相談者には気軽に相談できる雰囲気を作り出していたと思います。ドクターの笑顔に触れたら元気でますよ。