アドラーの教え『幸せになる勇気』
2016年 03月 12日
『嫌われる勇気』があまりに衝撃だったので、こちらは読まなくてもいいかなーと思いつつ、NHKの「100分で名著」で取り上げられたアドラーがやはり素晴らしかったこともあり、またまた読んでしまいました、アドラーの最新刊。
本の紹介文には、こうあります。
人は幸せになるために生きているのに、なぜ「幸福な人間」は少ないのか?アドラー心理学の新しい古典『嫌われる勇気』の続編である本書のテーマは、ほんとうの「自立」とほんとうの「愛」。そして、どうすれば人は幸せになれるか。あなたの生き方を変える劇薬の哲学問答が、ふたたび幕を開ける!!
劇薬の哲学問答ですから、決して心地よい言葉が並んでいるわけではなく、読みながら反発を感じるところも多々ありました。でも、やはりアドラーの人との対し方、人への愛情は深い。
全ページを通じて、キラ星のごとく、珠玉の言葉がちりばめられています。このブログを書くにあたって、パラパラめくりながら、目についてものを書き出してみました。青年と哲人の対話が続く本ですが、下記では、主に哲人の言葉を揚げています。
*『幸せになる勇気』は『嫌われる勇気』の続編になるので、まだ『嫌われる勇気』を読んだことがない方は、まずはそちらから読んで下さい。
「わたし」の価値を、他者に決めてもらうこと。それは依存です。一方、「わたし」の価値を自らが決定すること。これを「自立」と』呼びます。
「人と違うこと」に価値を置くのではなく、「わたしであること」に価値を置くのです。
仕事の関係とは「信頼」の関係であり、交友の関係とは「信頼」の関係なのです。(中略) 交友とは「この人と交友しなければならない理由」が、ひとつもありません。利害もなければ、外的要因によって強制される関係でもない。あくまでも「この人が好きだ」という内発的な動機によって結ばれていく関係です。
すべての仕事は「共同体の誰かがやらねばならないこと」であり、われわれはそれを分担しているだけです。 (中略) 人間の価値は、「どんな仕事に従事するか」によって決まるのではない。その仕事に「どのような態度で取り組むか」によって決まるのだと。
自己中心的な人は「自分のことが好き」だから、自分ばかり見ているのではありません。実相はまったく逆で、ありのままの自分を受け入れることができず、絶え間なき不安にさらされているからこそ、自分にしか関心が向かないのです。
アドラーとの決別を決意して哲人を訪ねた青年。その青年と哲人との和解はあるのか、落としどころは何なんだろう?とドキドキしながら読み進めていくと、最後に出てきたのは「愛」についての対話。
それまで果敢に哲人に挑んできた青年も、最後の章でだんだんと旗色が悪くなってきます。私はひそかに、青年頑張れ!と声援を送りながら読んでましたが、やはり哲人は大きかった。愛についての哲人の主張です。
最初にアドラーは言います「われわれは、ひとりで成し遂げる課題、あるいは20人で成し遂げる仕事については、教育を受けている。しかし、ふたりで成し遂げる課題については教育を受けていない」と。 (中略) つまり、愛とは「ふたりで成し遂げる課題」である。しかし、われわれは、それを成し遂げるための「技術」を学んでいない。
利己的に「わたしの幸せ」を求めるのではなく、利他的に「あなたの幸せ」を願うのでもなく、不可分なる「わたしたちの幸せ」を築きあげること。それが愛なのです。 (中略) 「わたし」や「あなた」よりも上位のものとして「わたしたち」を掲げる。人生のすべての選択について、その順序を貫く。(中略) 「わたしたち」のふたりが幸せでなければ意味がない。「ふたりで成し遂げる課題」とは、そういうことです。
ほんとうの愛を知ったとき、「わたし」だった人生の主語は「わたしたち」に変わります。(中略) 幸福なる生を手に入れるために「わたし」は消えてなくなるべきなのです。
フロムは言います。「人は意識のうえでは愛されないことを恐れているが、ほんとうは、無意識のなかで、愛することを恐れているのである」と。「愛するとは、なんの保証もないのに行動を起こすことであり、こちらが愛せばきっと相手の心にも愛が生まれるだろうという希望に、全面的に自分をゆだねることである」と。 (中略) 相手がどう思っているかなど関係なしに、ただ愛するのです。愛に身を投げるのです。
愛することは、あなたの課題です。しかし、相手があなたの愛にどう応えるか。それは他者の課題であって、あなたにコントロールできるものではありません。あなたにできることは、課題を分離し、ただ自分から先に愛すること。それだけです。
愛する対象をいま持たない人、パートナーのいない人はどうするんだーと突っ込みを入れたくなりますが、考えてみれば、その愛の対象を、一人の異性に限定にせず、目の前にいる人、友人でも、家族でも、お客様でも、とにかく目の前にいる人と自分と捉えれば、常に「WE」の関係は出来上がります。
ちょうど、この本を読んでいるとき、どなたかがサイトで「告白は、相手が自分を好きになってくれる確信があるからするのではなく、自分が相手を好きだという気持ちに確信があるからするのだ」と書いてあって、10代の頃に知りたかった名言だなーと思いましたが、「ただ愛する」から「わたしたち」という関係を築き、さらに「ふたりで成し遂げる課題」に移行できる愛を、果たしてどうやって見つけるのか・・・?
難攻不落だと思われた青年の心が陥落してしまった「愛」についての哲人の見解、この本の最終章でぜひ確かめて下さい。 そこかよーと、私は突っ込みを入れてしまいましたが…。
『嫌われる勇気』を読んでない方は、『幸せになる勇気』を読む前に、まずはこちらを
それはすごく分かります。納得したからといって、それを行動に移せるかは別問題で…。
ただ、私は悩みで頭がぐちゃぐちゃになりがちなので、筋の通ったお話を読んで頭がずいぶんすっきりしました。