災害備蓄品の中の必需品
2014年 12月 03日
玄関入ってすぐのところにリュックが置いてあったり、廊下に水やお米が積み上がっていたり、納戸1つ分が乾パンや缶詰で埋まっていたお宅もありました。
*もしもの時のために、各ご家庭で備えをしている、というのはとても安心ではあるのですが、その災害備品が日常の動線をふさいでいたり、いつも視線に入るところにある、というのはどうでしょう? 現在の日々の生活より、将来起きるかもしれないこと、不安や心配に意識がフォーカスされているのかもしれません。
それに、玄関近くに水やお米を積み上げていると、もしかしたら、大きな地震が起きたときにはそれ自体が自分の行く手を阻むものになってしまう可能性も。もしもの備えをしっかりしたら、普段の生活ではそれすら忘れるくらい今を楽しみたいものです。私自身は、災害備蓄品は、日常生活の動線の邪魔にならない、視線に入らない、そして、すぐに出せる棚の中に保管されることをお勧めしています。
さて、その災害備蓄品。
先日、3.11のあと、浦安で大変な苦労をされた方のお話を伺ったんですが、これは私も盲点だったなと思ったのが、トイレや生活排水が流せなくなったとき、どうするかということ。
浦安では、地震のとき液状化現象が起きて下水管が壊れてしまい、お風呂、洗面、食器洗い、そしてトイレを含み、全ての下水が流せなくなってしまったのだとか。お風呂は数日入らなくてもいい、食器も顔もしばらく洗わなくてもい。でもトイレだけはどうしても我慢ができない。
その方は庭があったので、庭に穴を掘り、しばらくは家族の排泄物を穴に埋めていました。1ヶ掘って一杯になったら次の穴を掘る・・・。それでも、昼間は自転車でトイレのあるところまで行って用を済ますことができても、夜はそうもいかない。しかも、寝たきりの老人のおしめ処理もあり、それはそれは困ったんだとか。
しかも、自分たちだけではなく、近所の皆さんも庭に排泄物を埋めていくので、そのうちにだんだん、近所中に排泄物の匂いが漂い衛生上の問題も起こりはじめ・・・。ニュースになったかどうか分からないんですが、東京のすぐそばの大都市で、こんなトイレ問題が起きていたなんて、全然知りませんでした。
庭付きのお宅はそれでも埋める、という手段が取れたでしょうが、自分専用の庭のない集合住宅にお住まいの皆さんはいったいどうされたんでしょう?
トイレを流すためにお風呂にいつも水を溜めているという方も多いと思います。でも、それは下水が使えることが前提の災害対策。もし地震発生時、どこか一箇所でも下水管が壊れてしまったら、そのお水を使ってトイレを流すことさえ出来なくなってしまいます。
ということで、もし、災害用の備蓄品の見直しをしてみて、トイレ対策が手薄だったら、いくつか用意しておくといいかも。
*私達が自宅に備えておけるのは、せいぜい携帯用か簡易式トイレだと思います。特に庭がないのであれば、1人が1週間、自宅のトイレを使えなくても大丈夫なくらいの備えはあってもいいかもしれませんね(ただし、いつもは棚の中に保管!)。
*仮設トイレでEM菌を混ぜていたら臭いがかなり軽減されたという話も聞きます。EM菌を買って備蓄セットに入れておくといいかも。
*生ゴミ処理をする家庭用のコンポストも緊急トイレになりますが、ウンチのほうはまだ分解されやすいそうなんですが、意外にも尿のほうは量が多いこともあり、家庭用のコンポストだと1日1人分のオシッコで処理能力を超えてしまうようです。
あとは、日頃から小食が基本の身体にしておくとか、尿療法を体験しておくと、別に災害対策のためにそうするわけではないですが、どこにいても、何が起こっても、食と排泄のストレス度合いが他の人よりもぐーんと小さくなるかも。
災害時のトイレ
災害時のトイレ確保