映画「1/4の奇跡」イベントから生まれた新たな奇跡
2012年 04月 06日
水曜日も濃い1日でした。
午後から私はキネシオロジストの雪乃さんと、都内の某病院に行ってきました。
そこでお会いしたのは、生後まもなく核黄疸と高熱で低酸素脳症のため、赤ちゃんのときからずっと寝たきりだという19才の女性と、そのお母さん。19才という年齢ながら、身体はまだ子どものように小柄。顔や全身の筋肉が固く緊張しており、瞼も閉じないのでずっと目は開いたままです。
また、呼吸や栄養をサポートするため、口や鼻にはずっとチューブが入っており、口や表情を使って何か意思の伝達をしたり、また自分の意志で手足を動かして、絵や文字をさし示すことも難しい、そんな状態の方でした。
19年間ずっと寝たきりってどんな感じなのでしょう? 19年間、自分の思いを伝えられなかったら、人は何を心に思うのでしょう? 私にはとても想像はできない辛い状況ですが、お母さんの深い愛情と手厚い看護をずっと受けられてきたことは病室に入ってすぐに実感できました。彼女の小さなスペースは清潔にキチンと整えられ、ベッドの廻りには様々な絵や写真が飾ってありました。
母の愛情はなんとありがたく、そして尽きることがないのしょう。彼女が少しでも良くなれば・・・と、お母さんは今でもあらゆることを試されているそうです。
そのお母さんと出逢ったのは本当に奇跡的な出来事。
先週の土曜日、私は入江富美子監督の映画「1/4の奇跡」の上映開始5周年記念イベントにお手伝い要因として参加していました。
休憩時間、私は展示されていた「おはなしノート」をパラパラとめくっていました。するとそこに1人のお母さんがいらして、そのブースにいたアルバさんに「自分の娘は何か特定のものを指さしたりできないんだけど、これは使えるかしら?」と質問をされました。
さらに、生後すぐからずっと寝たきりで意思疎通ができない状態なので、果たして言葉を言葉として認識したり理解しているかどうかも分からない・・・とも。
私は、アルバさんとそのお母さんとの会話を横で聞く感じになってしまったんですが、お節介な私は、ついお母さんに話しかけてしまいました。「キネシオロジーという方法を使えば、もしかしたら娘さんとコミュニケーションが可能かもしれません」と。
突然横っちょから話しかけられて、そのお母さん「キネシなんとかって何ですか?」状態でしたが、ともかくも興味があれば友人にコンタクトをとってみます、都合があえば、直接病院に行って娘さんに聞きたいことを聴くお手伝いができるかもしれません、とお伝えしました。
そして水曜日、私と雪乃さんは駅で待ち合わせをしてその娘さんとお母さんが待つ病院に行ってきました。
寝たきりといっても、皆さん症状や置かれている状況は様々。筋肉反射が取れるかどうかは行ってみないと分からない、という感じではあったのですが、ラッキーなことに今回はすぐに筋肉反射が取れ、不思議な会話がスタートしました。
事前にお母さんには「娘さんにお聞きになりたいことを、YES・NOで答えられる質問にして書き留めておいていただけますか?」とお願いしていました。
お母さんがご用意されていた質問は合計63個。
果たして、19年間その思いをくみ上げることができなかった娘に、いったいお母さんはどんな質問を書かれていたでしょうか?
質問はこんな感じでした。
「音楽は好きですか?」
「嵐の松本潤は好きですか?」
「野菜ジュースは好きですか?」
「絵を描くのは好きですか?」
実のところ、私はもっと本質的なこと、生きていること、人生について彼女がどう思っているかをお聞きになりたいのでは?と思っていました。でも、お母さんにとっては、娘さんが快適かどうか、いま自分が娘のためにやっている様々なことは好きなの嫌いなのか、日々の様々なことをを確認されたいんですね。それにどこまでの会話ができるのか、お母さんご自身よく分からなかったのでは?と思います。
そんな質問をしていく中で、何度か彼女の「思い」に触れることができました。
例えば、お母さんは娘は絵を描くのが好きかと思っていたけど、実際は娘さんは絵を描くのは好きじゃない。それは絵の具のニオイが苦手なのと、寝たままではなく起きあがって描きたい、彼女にとって絵は絵ではなく、表現方法の1つ。といっても、彼女が描ける絵というのはとても限られているので、そこから彼女の気持ちを読みとる、というのはなかなか難しいことではあるですが。。。
面白かったのは、YESでもNOでもない、という曖昧な答えにもちゃんと理由がありました。人に会うのは好きか?という質問にはイエスでもありNOでもある。「人による」と。そりゃそうだ。
これからどうしたい?という質問には「分からない」と。確かに私だって19才のときに「将来どうしたい?」と聞かれたら「未定、分からない」としか答えられなかったですしね。
お母さんは時々娘さんの魂が自分の肉体を離れ、どこか別のところに行ってしまったように感じることがあるそうですが、実際に、彼女は肉体にいないこともよくあるそうです。ピカと名付けた精霊に会って、いろいろ学んでいる。そのことをお母さんに伝えようとしているけれど、100回のうち2回くらいしかお母さんには伝わっていないとも。
ただし、好きなときに身体を出入りする、というコントロールは出来ないようで、お母さんが一緒のときには自分の肉体にちゃんといてお母さんとの時間を過ごしたいと思っている。それには生のお花の匂いを嗅ぐことで、肉体にしっかりと戻ることができるので、病院に来たときには生花の匂いを嗅がせてほしいとお母さんにメッセージがありました。
オラクルカードを使ってのお母さんへのメッセージは「今度手術することに罪悪感を感じなくてもいい」と。そして、今起きている状況も、これから転院するかもしれないことも全て分かっていると。
分かっていることを伝えるすべがないだけで、脳に重い障害があって寝たきりでも意思疎通はできなくても、「言葉を理解し、分かっている」と彼女は伝えてくれました。
いま、山元加津子さんは「おはなし大好き」や「白雪姫プロジェクト」で、植物人間状態になっても回復する道はある、コミュニケーションをサポートするいろんな方法がある、ということを伝えていらっしゃいます。
でも、どうしてもその枠からこぼれてしまう人が出てきてしまいます。そんな時、通常とは全く違う方法ですが、キネシオロジーを使えば、植物状態の方や意思疎通が難しい人とも意思の伝達ができるかもしれません。できないかもしれないけど、そういう可能性がある、ということを知っているか、知っていないかで、全然違ってきます。
キネシオロジストさん全員が深いレベルでの意思疎通ができるとは限りませんが、ご家族の方が、キネシオロジーを学ばれると、筋肉の微妙な反応で、家族と意思疎通は今よりもっと容易になると思います。
水曜日の出来事は、雪乃さんや私にとっても、とても大切で、そして貴重な体験をさせていただきました。
セッション中は腕に軽く手を添えているだけ。ちなみに水曜日の出来事をブログに書くことも、腕の写真を撮らせていただくことも、事前に娘さんに了解を得ています。

最後に・・・
今回お会いした娘さんのお部屋には、彼女と同じようにずっと寝たきりだったり、目を開けたまま昏睡状態にいる女の子たちが数名いました。そんな病室の中、彼女たち1人1人に歌をうたってあげたり、話しかけたりされているボランティアさんが1人来ていらっしゃいました。
19年間、ずっと諦めることなく娘さんの世話をされ続けてているお母さんも天使だと思いましたが、そうやって意識のない子ども達に歌い話しかけている女性も天使ですね。
私はずっと知りませんでしたが、世の中にはこんな天使みたいな方々がたくさんいらっしゃるんですね。こんな素晴らしい人たちが暮らしている東京、日本をどうか護って下さいと神様に祈らずにはおられないです。