帰ってきました。瞑想三昧の世界から。
2011年 02月 20日
うち10日間は朝4時起床で4時半から夜9時まで、約12時間の瞑想三昧の日々。瞑想してるか寝てるか、食事をしているかの単純な日々。でも、普段の生活では味わえない特別な日々でした。
今朝4時に目覚ましが鳴ったとき「あ~、今日が最後の4時起きだ~!」と気合いを入れて起きました。明日7時過ぎまで寝ていられる、と思うだけで幸せな私はどこまで寝ぼすけなのでしょう!
この12日間のこと、記憶が新しいうちに書き残しておかなければなりませんね。
なんせ、メモも禁止だったし、まるまる10日間、同じスケジュールで過ごしていましたから、すぐに記憶が団子状態になってしまいます。
まず、参加者は約50名。完全に男性、女性は分けられ生活するので、約25名ずつの参加者。2月という季節柄かなのか、大学生くらいにしか見えない若い人も多く、だいたい20代から30代半ばの方々が中心だと思います(とはいえ、最終日にお互い自己紹介してみたら、10代だと思っていた女の子たちが26才だったりしたのですが・・・)。
受付で携帯や持っている本などを預け、軽食を食べたあとはすぐに聖なる沈黙に入ってしまったので、参加者の名前、素性などは全く分からず。ずっと隣で寝ていた人の名前さえ、最終日にようやく判明したくらいです。
私は宿泊棟に泊まることができましたが、数名はテント生活でした。今回は冷たい雨が多かったし、雪も降ったので、テントの方はかなり過酷な日々だったと思います。私は廻りの方が起き始めるので、それにあわせ一緒に起きることができましたが、たった一人で寒いテントでしかも4時起きなんて、とても私にはできる芸当ではありませぬ。
宿泊棟といっても雑魚寝です。布団1枚分と荷物を置く場所が一人に与えられたスペース。誰とも口をきかず、目もあわさず、名前さえ知らず、しかも、横にはすぐに寝ている人がいる、というギッチギチ状態で寝ていたわけですから、いま思い出すと、あれは不思議な異空間でした。
トイレとシャワーは別の棟にあり、雨や雪の日は傘をさして長靴を履いてぬかるんだ土の上を歩いて行く必要があります。シャワーを出たらすぐに外で、2月の寒風吹き込む中でシャワーを浴びていたんですから、よくあれで誰一人風邪を引かずに過ごすことができました。やはり、異空間のなせるワザですかね。
瞑想は瞑想専用のホールが用意されてあり、1日12時間をそこで過ごします。
朝4時半~6時半の2時間
朝食後、8時~11時の3時間
昼食後、1時~5時の4時間
フルーツの軽食のあと6時~9時の3時間。
講話を入れて、トータル12時間。
日頃、あらゆるところから否応なく耳に入ってくる音楽、話し声、ラジオやテレビの音はない。携帯も電話もなく、本もメールも読まず、目にする文字は掲示板のお知らせだけ。
普段は外からもたらされてくる情報や刺激に反応して、それに応えることに終始している脳みそ。その肝心の情報がぱったり遮断されてしまうと、もう、どうしていいか分からないんでしょうかね。
私の脳はこんなにお喋りだったのか!と思うくらい、朝から晩まで、ずっと頭の中では絶え間ないお喋りが繰り広げられておりました。
もちろん、残念ながら、瞑想の時間中も。
最終日に他の参加者の方に言って爆笑されたんですが、最初の3日間、私の頭の中には10人の黒柳徹子さんがおりました。しかもテンでバラバラ、支離滅裂、脈略なく、そして「私にも話させろ」と自分のお喋りの優勢さを競いあいながら話し続ける黒柳徹子さんが10人。
頭の中で繰り広げられていたお喋りの内容は、次の4つに分類できると思います。
1)過去に実際あった出来事、思い出。それに派生して、あの人は今シリーズ。
2)過去に実際にはなかった「もし、あのとき、ああだったら」という過去の願望、妄想シリーズ。
3)近い未来、現実になりそうなこと、またなってほしいこと。それに派生して、明日からの仕事の段取りシリーズ。
4)未来はこうだったらいいな、こうしたいな、という未来の願望、妄想シリーズ。
この4つが、脈略もなく未来に行ったり過去に行ったり、あっちいきこっちいき。しかも、3秒前に何を考えていたかさえ言えないほど泡のように浮かんでは消えていく、どうでもいいような一人相撲喋り。
でも、途中で気がついたんですが、未来や過去に縦横無尽に変わるトピックに、そのお喋りの本体である私にはさっぱり脈略ないように思えても、お喋りしている脳みそにはちゃんと脈略があるようなのです。
というのも・・・
ふと、「今日は冷たい雨だなぁ・・・・」と頭が思ったが否や、間髪入れずに私の脳みその中では荒井由実の「冷たい雨」がスタート。ハイファイセットの山本潤子さんバージョンの歌声で。そして冷たい雨の歌とともに、別のシーンを思い出し、そのシーンの先に別の友人が頭に浮かぶ・・・。
「この頭のお喋り、どうにも止まらないなぁ」と思ったときなんて、間髪いれず、山本リンダの「どうにも止まらない」がスタート。しかも頭の中の映像では「8時だよ、全員集合」に出演中の山本リンダさんが唄っている。
なんか1つ思い出すと、その記憶のフックには、別の記憶や別の思いが繋がっていて、それが数珠つなぎになっているんでしょうかね。
ともかくも、そんな感じでスタートから3日間は、自分の頭の中の止むことのないお喋りにいささかあきれ果て、自分の頭の中ながら、うんざりしておりました。
ところが、その絶え間ない頭の中のお喋りも、ふと気がつくと4日目の午後にはトーンが落ち、お喋りとお喋りの間に隙間ができはじめている・・・。
それとともに、瞑想中、強い痛みを引き起こしていた首や肩のコリも少なくなり、ようやく4日目にして瞑想できる時間も長くなっていきました。
もし最初の3日間で終わっていたら、私は頭の中のお喋りと身体の痛みだけしか体験できなかったでしょうね。
もちろん雑念は相変わらず沸きましたが、ただうるさく脈略なく繰り広げられていた単なる脳みそのお喋りの内容が、意味のある建設的なものに変わり始め、お喋りの主体が「頭の中の黒柳徹子さん」から「わたし」になってきたように思います。「**について考える」というテーマを持ち始め、たとえ雑念であっても、終わったあとには思考した感と「こうしよう」という思いが残るようになりました。
昨日から参加者同士のお喋りが解禁されたので、いろいろ体験をシェアしあったんですが、お話した方全員が「また参加したい」「また近いうちに戻ってきたい」と言っていました。
私はスタート時点で、あまりに瞑想中の身体が痛く、また雑念ばかりだったので、すでに2日目から「20日までは、まだまだあるなぁ」と暗澹たる気分で帰る日を指折り数えている状態でした。
が、終わってみると、なんとも言えない爽快感。そして意識の高い他の参加者とのつかの間の交流。
少なくとも1年に1度、強制的にでもこの10日間を過ごすことは自分にとって非常に有益じゃないかなと思っています。最後にお話した方々は、この3年間で5回、6回と参加されていました。
しかも5回、6回は、まだまだ初心者クラス。その上には何十回も参加されている強者も・・・。社会人でありながら、この10日間をどうやって捻出されているのか興味はつきませんが、ここに参加しないと、自分一人では、なかなか1日12時間も瞑想に集中できないですからね。
ちなみに参加費は無料。京都と千葉にある施設の運営は、すべて他の参加者の寄付、施しによって運営されています。
そこで体験してきた瞑想については、書くと長くなってしまうので、またあらためて。