これからの「正義」の話しをしよう


大学時代、刑法のゼミで、こんな宿題を出された。

「ボート遊びをしていたら、上流から瀕死の人が流れてきた。下流には滝があるため、いま、救助しなければ彼は確実に死んでしまう。それが分かったが彼を救助せず、見放してしまった場合、このボート遊びをしていた人に、刑法上の罪はあるか。同様に、ボートに瀕死の人が引っかかってしまったのを、オールで向こうに押しやってしまった場合はどうか?」

この宿題をどう考え、どうレポート提出したのかさっぱり覚えていないながら、この設問は28年経ったいまでも覚えている。思い出すたびに心をザワザワさせる、居心地の悪い設問だ。


いま、NHKのオンデマンドを利用して、パソコンで「ハーバード白熱教室」を見ている。

これは、ハーバード大学の名物教授、マイケル・サンデルの哲学の講義を収録した番組。

「5人の命を救うために1人を犠牲にすることは正義であるか」「難破し、何日も大海を漂っているボートの中で、生き延びるために、瀕死の人を殺して食べることは許されるか」などなど、私が刑法の教授に問われたような居心地の悪い命題が、次々と学生に投げかけられ、学生との討論を通じて私たちも同様に考えるよう促される。

そして、法律でも、宗教でも、感情でもなく、過去の哲学者たちがこのような命題をどう考え、どう向き合ってきたのかが講義されるのだ。


いま2話をみた段階なので、これからどのように講義が進展していくのか分からないながら、法律に愛という言葉がないように、哲学というものは「神」や「魂の成長」「輪廻転生」という概念がまったく無いゆえに、やはり隔靴掻痒の感があるのは否めない。

さらに、ハーバードの学生たちが命にまつわる命題に「それは良くない」「それは良い」「こういう条件があるならよい」という討論を交わしているのも、やはり机上の空論のように思えてくる。命ギリギリの究極の状態で行った人間の行為を、温かく快適な世界で想像して、さらに彼らを裁くことができるのかと思ってしまうのだ。

以前、テンプルお客様が出られるボクシングの試合を見にいったことがある。そのとき、隣のおじさんが始終飛ばしていた汚いヤジに頭に来て「だったらあなたが試合しなさい」と言いそうになったことがあるのだが、まさにそんな感じ。

この講義は「これからの「正義」の話しをしよう」という本になっている。

秋の夜長に、たまには、友人たちとこんな哲学問答を交わしてみるのもいいのではないかと思う。
by hiroshimapop | 2010-09-23 13:23 | おススメBOOKS | Comments(0)

ケイシーグッズ専門店テンプルビューティフルの店長日記


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