無いから出来る
2009年 07月 31日
すぐに石川洋著による大石順教尼さんについて書かれた「無いから出来る」という本を注文。いま、読んでいるところです。大石順教尼という方は、17歳のときに養父に両腕を切り落とされる、という想像を絶する悲劇を乗り越え、生きてこられた方でした。
著者いわく「両手を失うということは、自分の始末をすることができない、1日生きれば1日の絶望があり、1日耐えれば1日の屈辱である」。
そんな苦難に遭われた順教尼について語る中、運命についての章で石川さんはこう書かれています。
・・・ただ不思議なことに、途中で逃げた人、やめた人は、原因を他に求めるが、最後までつづけた人は、みんなの「おかげ」を知っているのである。(41ページ)
日頃、私たちは過去にとらわれたり、許せないものを引きずっていることが多い。それが結果として今を生きる活力を失わせ、正しい判断を妨げて、将来を駄目にしている原因となっているのではなかろうか。なぜだろう。それは、過去を暗いものとして封じ込めてしまっているからである。
さらには、被害者意識に落ち込んでしまうということがある。「あんなことにあわなかったら」「あの人と出会わなかったら」「やらされている、させられているから」と問題の原因を他にかぶせて許せないでいるからである。(49ページ)
順教尼は、死ぬまで1度も自分の両腕を切り落とした養父を恨むことも、憎むこともなく、かえって日々供養の日々であったそうです。
辛いことも、逃げることなく最後までやりぬいたら、「おかげ」になる。
今の私には、心に沁みる一言になりました。