毎日がエドガー・ケイシー日和 ケイシーグッズ専門店テンプルビューティフル店長が世界を飛び回りながら、今を健康的に生きるヒントをお伝えします。

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石牟礼道子著『苦海浄土』
9月のNHK『100分で名著』は、石牟礼道子さんの苦海浄土が取り上げられています。しかも解説はピュアシナジー輸入のため、シナジーカンパニーを立ち上げた若松英輔さん。テンプルのひまし油湿布もシナジーカンパニーを通じて輸入していただいています。
これは視るべし!でしょう。

テレビのある人は、テレビで。テレビがない方は是非ともオンデマンドで!


苦海浄土の本には個人的に深い思い出があります。

大学を卒業して働き出したものの、日本の社会は男性中心社会。男女同権の意識は今より遥かに低く、女性が大きな仕事を担ったり単独で動くという環境はなく、女性=男性の補助が当たり前。この男性より私のほうがよっぽど仕事は出来るのに・・・と思うような男性社員にメインの仕事が割り振られたり、ヒマで午前中は新聞を眺めてるような窓際部長連中に仕事を言いつけられたり・・・。あー、私はもっと仕事がしたいのにーと、楽しくもなく張り合いもない毎日に、何だか自分の時間を単にお金に換えている気がしてました。

とはいえ、特にやりたいことも見つからずで、お先真っ暗気分でしばらく会社勤めを続けてましたが、いい加減、そんな会社勤めにも嫌気がさして、20代半ば、私は8ヶ月ほど日本を飛び出し海外をフラフラ。

そんなある日、日本語の貸本屋を滞在先の街で見つけ、借りて読んだのが『苦海浄土』と林真理子さんの『南青山物語』。

私は今もそうですが、1度に本は数冊同時進行で読みます。だからこの時も、この2冊を同時に読み始めたわけですが。。。

『苦海浄土』は水俣病患者となった家族を追った物語。水俣に暮らす方々の清貧とも云える暮らしぶりと病の悲惨な状況が熊本の方言で語られています。毎日を生きるだけで精一杯の苦痛に満ちた現実を軽々しく美しいとは表現してはあまりに現実を知らなすぎると云われそうですが、『苦海浄土』で石牟礼道子さんの筆を通して語り綴られている水俣の皆さんの言葉は本当に神々しく美しい。

特に、日本から遠く離れた場所で、東京の、普段であれば多くの方の憧れの暮らしであろう南青山でのセレブの生活を書き連ねた、苦海浄土とは対極にあるようなエッセイと同時にこの本を読んだということもあり、自分は人としてどう生きたいのか、人の幸せや生きる意味とは何なのか、自分はどちらの生活をしたいのかを考えるキッカケになった1冊でした。


『苦海浄土』はどのページを読んでも、グッと心に迫ってきますが、杢太郎少年のお祖父さんの話は、読後、何年経っても私の心の中にこだましていました。

あねさん、わしゃふとか成功どころか、70になって、めかかりの通りの暮らしにやっとかっとたどりついて、一生のうち、なんも自慢するこたなかが、そりゃちっとぐらいのこまんか嘘はときの方便で使いとおしたことはあるが、人のもんをくすねたりだましたり、泥棒も人殺しも悪かことはいっちょもせんごと気をつけて、人にゃメイワクかけんごと、信心深う暮らしてきやしたて、なんでもうじき、お迎いのこたすことになってから、こがんした災難に、遭わんばならんとでございっしゅかい。

なむあみだぶつさえとなえれば、ほとけさまのきっと極楽浄土につれていって、この世の苦労はぜんぶち忘れさすちゅうが、あねさん、わしども夫婦は、なむあみだぶつ唱えはするがこの世に、この杢(*水俣病を発症した孫)をうっちょいて、自分どもだけ、極楽につれていたてもらうわけにゃ、ゆかんとでござす。わしゃ、つろうござす。

(中略)

あねさん、この杢のやつこそ仏さんでござす。
こやつは家族のもんに、いっぺんも逆らうちゅうこつがなか。口もひとくちもきけん、めしも自分で食やならん、便所もゆきゃならん。それでも目は見え、耳は人一倍ほげて、魂は底の知れんごて深うござす。一ぺんくらい、わしどもに逆ろうたり、いやちゅうたり、ひねくれたりしてよかそうなもんじゃが、ただただ、家のもんに心配かけんごと気い使うて、仏さんのごて笑うとりますがな。

(中略)

おるげにゃよその家よりゃうんと神さまも仏さまもおらすばって、杢よい、お前こそがいちばんの仏さまじゃわい。爺やんな、お前ば拝もうごだる。お前にゃ煩悩の深うしてならん。
あねさん、こいつば抱いてみてくだっせ。軽ろうござすばい。木で造った仏さんごたるばい。よだれ垂れ流した仏さまじゃばって。あっはっは、おかしかかい杢よい。爺やんな酔いくろうごたるねえ。ゆくか、あねさんに。ほおら、抱いてもらえ。

『苦海浄土』の2冊目の本にも美しい、娘を思う母の言葉が書き記されています。

きよ子は手も足もよじれてきて、手足が縄のようによじれて、わが身を縛っておりましたが、見るのも辛ろうして。
それがあなた、死にました年でしたが、桜の花の散ります頃に。私がちょっと留守をしとりましたら、縁側に転げ出て、縁から落ちて、地面に這うとりましたですよ。たまがって駆け寄りましたら、かなわん指で、桜の花びらを拾おうとしよりましたです。曲がった指で地面ににじりつけて、肘から血ぃ出して、「おかしゃん、はなば」ちゅうて、花びらを指すとですもんね。花もあなた、かわいそうに、地面ににじりつけられて。

何の恨みも言わじゃった嫁入り前の娘が、たった1枚の桜の花びらば拾うのが、望みでした。それであなたにお願いですが、文ばチッソの方々に、書いて下さいませんか。いや、世間の方々に。桜の時期に、花びらば1枚、きよ子のかわりに、拾うてやっては下さいませんでしょうか。花の供養に


残念ながら、苦海浄土に書かれたような企業由来の病は現在もこの日本で発生中です。何か起こったとき、企業や政府がどのような対応をするかも、この水俣病が発生した当時とあまり変わってないですねー(FUKUSHIMAもそうですし)。いずれにしても、『苦海浄土』は、ぜひ多くの方々に読んでいただきたい。特に高校生や大学生など柔らかい心を持った世代に読んでいただきたい・・・。

おすすめの1冊です。




by hiroshimapop | 2016-09-10 07:28 | おススメBOOKS | Comments(0)