『Eat & Run』
2016年 08月 06日
今日もそんな1冊ご紹介。
著者は42.195キロのマラソンが軽いジャブ程度の距離にさえ思えてくるような長距離(100キロ、200キロを走り続ける)ウルトラランナー。しかも、出場するのは、気温40度を超えるような灼熱の山の中を走るような過酷なレースがほとんど。足の指の骨が折れようと捻挫をしようと、そして嘔吐しようと幻覚をみようとゴールを目指して走り続けるのです。
そして、そんな彼のエネルギー源は肉ではなく、完全な菜食(途中、ローフーディストにもなっている)。乳製品も卵も食べないヴィーガンになったことで、彼はさらに良い集中とパフォーマンスを生み出せるようになったことを実感しています。
食事について書いてある部分を少し抜き出してみます。
最後に食生活にも手を加えた。自己改善に取り組む中でこれが一番簡単で嬉しかった。(中略)節約をして生活する方法はいくらでもある。僕は誰よりも分かっている。でも体が必要な燃料と薬、つまり食べ物は、節約するべきじゃない。今までにないエネルギーが沸き上がるこの健康な体を見れば、投資が大切なことは言うまでもなかった。
(中略)
質のいい食事を取れば取るほど、体の調子が良くなった。調子が良くなると、もっと食べることができた。ヴィーガンになったことで、脂肪が一層落ちた。この脂肪はクッキーやケーキ、ツインケーキやチーズピザからくるもので、一般の雑食菜食者やベジタリアンでさえ多くがこうしたものを食べている。僕は今まで以上に食べて、楽しんで、同時に人生で一番痩せることができた。ヴィーガンになってから、全粒穀物、豆類、フルーツと野菜をもっと食べるようになった。(中略) ヴィーガンでありながら、食べる量が増え、体重が落ち、筋肉量が増えた。
レースとレースのあいだや、トレーニングのあいだの回復時間も短くなった。50マイルのレースに出ても、もう筋肉痛にならなかった。毎日、起きる度にエネルギーがみなぎっていた。フルーツを食べるとより甘く、野菜は歯ごたえがあってさらに味わい深く感じた。朝起きて短いランに出かけ、それから8~10時間働き、それから夕方には10~20マイルまた走っていた。集中力も日に日に高くなっている気がした。
体に良いと思われる食事を食べ続けること、走り続けること。毎日トレーニングを続けること。どれも簡単なようで簡単ではありません。走っている最中、特に夜や悪天候の中であれば、走るのを止めたい、歩きたい、休みたいという思いは何度も湧いてくるでしょう。それでも走ることを止めず、次の1歩を出し続けられるランナーの精神力の強さ、そして自分の限界だと思っていた肉体的極限をさらに超えて走り続けられる強靱な心。
圧倒されっぱなしでした。
長年植物だけを食べている僕は、シンプルな食事と極力加工食品を避けることが、健康維持の最良の方法だと信じている。(中略) 病気や怪我を可能な限り自然な方法で治そうとしている。食べ物は僕にとって薬でもある。他の長距離ランナーがよく口にするイブプロフェンのような抗炎症薬も避ける。こういった薬は痛みをごまかしてしまうので、本当は走るべきでないときも走ってしまい、もっと深刻な怪我を引き起こす可能性があるからだ。それに大勢のランナーがイブプロフェンの飲み過ぎで腎臓をやられている話しも聞く。これは早く回復させようとするときにありがちな副作用で、いろいろな面で典型的な西洋医薬の問題と云えるだろう。
私は100メートルだって走り続けられるかどうか分からない人間ではありますが、この本はかなり面白く、そして刺激になりました。紹介されているヴィーガンのレシピも美味しそう。
普段、アスリートの本なんてほとんど読まない方にもお勧めです。