設計図面から見えてくる家族の関係・・・
2014年 10月 27日
その間取りを見て、あまりにびっくりしてしまい、思わず、余計なお世話と思いつつ、感じたことを社長さんにメールしました。夢いっぱいに描かれたであろう、あるお宅の設計図面・・・。でも、そんな間取りから、いろんなことが見えてきます・・・。
描かれていたのは、両親と子供2人で住む予定の2階建ての大きなお宅。1階はキッチンやリビング、和室などがあり、広々としたステキな感じです。
でも、この2階の間取り。何か感じることはありませんか・・・?
まず私が気になったのは、ご夫婦の寝室がすでに別々であること。階段や廊下を隔て、北と南に離れ離れです・・・。なんか、これだけで、お二人の関係性が見えてきそうです。
間取りからの推測ですが、これがご夫婦のリクエストで描かれた設計図なら、このご夫婦、すでにご夫婦としての関係は破たん寸前か、深い会話のない関係なのではないでしょうか。そして家族の力関係は、(妻+子供) 対 (父親)の可能性が。
さらに、家族の数だけある寝室の中で、一番小さい5.2畳は、なんと、一家の大黒柱であろうお父さんの寝室(黄緑色)。一方、奥様の寝室(オレンジ色)は6.9畳+広いバルコニーがあります。一番大きなスペースを持っているのは、2人の子供。余裕の8畳と7.25畳です。
子供さんの年齢が分からないものの、この間取りに住み続けていたら、二人の子供さん、無意識レベルで父親を尊敬しなくなるんじゃないかなと思います。家は住む人の無意識レベルに働きかけます。常識的に考えても、広い寝室を持つ人は、小さな寝室を持つ人より優位の立場にありますよね。テリトリーが大きいわけですから。
もちろん、自分のスペースを削ってまで、子供たちに広い部屋を与えてくれた父親に感謝できる子供になる可能性もありますが、そのためには母親の役割が重要。なのに、この間取りから推測するに、お母さん、すでに、その気はなさそうです。
そして、他の3部屋は四角なのに、なぜかお父さんの部屋にだけある部屋の欠け・・・。
ドアから入ってすぐ右手にあるのは机かなと思いますが、書斎というには小さなスペース。なにより、どうベッドを置き変えたとしても、この部屋では熟睡できそうにもありません・・・。
興味深い点がさらにあります。。。
これは設計士さんが無意識にそう描かれたんだと思いますが、お母さんと子どもたちのベッドの向きは3つとも同じ東西なのに、お父さんのベッドだけが南北を向いています。これは、お母さんと子どもたちの結束は固くて3人の意見は一致しやすい一方で、お父さんは一人疎外されている・・・。そんな家族関係がここで一気に炙り出されている気がします(私の勝手な憶測かもしれませんが、偶然やたまたまの中に、何かが語られていることがあるのです・・・)
なんか、いろんな意味で不遇なお父さんの部屋・・・。
家には、メインベッドルーム、主寝室というものがありますが、このお宅の場合、大きさから推測するに主寝室は子供部屋でしょうか? どう見てもお父さんの寝室ではなさそうです・・・。
私が高校生の時に与えられていた自分の寝室は、元は納戸として作られていたであろう4畳の部屋でした。田舎ですから少し広めではありましたが、その中にベッドと机と洋服ダンスがあったので、床のスペースは自分が歩く分だけ。小さなスペースでしたが、私にはそれで十分でした。どうせ子供はすぐに大きくなって家を出ていくんですから・・・。
これは私の意見ですが、大邸宅に住んでいるなら別ですが、普通のご家庭なら、子供部屋は、早く大人になって独立して、自分も広い寝室や書斎のある家が持てるようになりたいなと、自分の両親の暮らしぶりを憧られるくらいの、少し窮屈くらいの部屋の大きさが丁度いいんじゃないかなと思っています。もちろん、両親の寝室は一緒で子供部屋より広いことが前提です。
こんな勝手なことを、あーだこーだと書き連ねて、その建築会社の社長さんにメールしたんですが、返信があり、この間取りも建築の請負自体も、結局はキャンセルになったそう。
あー良かったと安堵していいものかどうかわかりませんが、すでに不遇そうですが、さらに不遇なお父さんが生まれなくてよかった。
でも、こういうお宅。実はとっても多いんです。お母さんと子どもが大きなダブルベッドに寝て、お父さんが子供部屋に寝ているとか、お父さんが1Fで、お母さんと子どもが3Fに寝ているとか・・・。
大黒柱である父親を妻や子どもたちが敬うという形、もう日本の家族、特に都会の家族から消えつつあるのかもしれません・・・。