毎日がエドガー・ケイシー日和 ケイシーグッズ専門店テンプルビューティフル店長が世界を飛び回りながら、今を健康的に生きるヒントをお伝えします。

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零戦と菜穂子
映画のクレジットが流れ始めても誰も席を立とうとせず、灯りがついても誰も口をきかず、上映室の扉が開いても誰もが黙ってうつむいたまま歩いて帰っていった。

そんな映画でした。ジブリの最新映画『風立ちぬ』。

映画紹介文にはこうあります。
この作品の題名「風立ちぬ」は堀辰雄の同名の小説に由来する。ポール・ヴァレリーの詩の一節を堀辰雄は“風立ちぬ、いざ生きめやも”と訳した。この映画は実在した堀越二郎と同時代に生きた文学者堀辰雄をごちゃまぜにして、ひとりの主人公“二郎”に仕立てている。後に神話と化したゼロ戦の誕生をたて糸に、青年技師二郎と美しい薄幸の少女菜穂子との出会い別れを横糸に、カプローニおじさんが時空を超えた彩どりをそえて、完全なフィクションとして1930年代の青春を描く、異色の作品である。


私の本名は菜穂子。
母が高校時代に堀辰雄の小説『菜穂子』を読んですっかりこの名前が気に入り、娘が生まれたら絶対にこの名前をつけようと思っていたらしく、小説の『菜穂子』がどれだけ薄幸だったかに関係なく、私の名前は菜穂子になってしまいました。

母と同じ高校時代、『菜穂子』を読んでみれば、舞台は高原のサナトリウム。堀辰雄の他の小説もそうであるように、常に生は死と背中あわせ。フッと息を吹きかければ消えそうな、そんな境遇のなかでどう女性として生きるのか・・・。たしかそんなテーマだったような。


そして時代は今。
まさか、菜穂子と零戦とが結びつくとは。そして菜穂子が療養していたのが八ヶ岳山麓。肺結核とサナトリウムと零戦戦闘機。全編を通して死の気配を感じる映画でしたが、宮崎監督のメッセージは「生きねば」なんですよね。菜穂子と結婚した主人公二郎は『僕たちは1日1日が大切なんだ』と言っていましたが、それは後年、二郎が設計した零戦に乗って命を落とした特攻隊員もそうだったことでしょう。

この映画は、飛行機好き少年だった堀越二郎が設計した飛行機で、戦争末期、いったい何が起こったのか全て分かってみる映画なんですよね。青空や飛行機があまりに美しく、堀越次郎の飛行機に対する熱意が純粋で、そして恋人菜穂子があまりに活き活きと闊達に描かれているだけに、かえって胸に迫るものがありました。


堀越二郎という人物、この映画で初めて知りました。美しさと機能性を追求して設計した零戦戦闘機。自分が設計したその零戦に乗って、どれほど多くの命が散り、どれほど多くの家族が涙したか。堀越さんはその事実をどう感じ、どう背負って生きられたのでしょう? それを思いながら帰りの道を歩いてました。

              テーマソングは荒井由美の飛行機雲

by hiroshimapop | 2013-07-24 23:56 | セミナー・舞台情報 | Comments(0)