ハーブ&ドロシー
2010年 12月 29日
今日渋谷に見にいったのも、日本人が撮影した、NYのアートコレクター、ハーブとドロシー夫妻のドキュメンタリー映画。
ハーブとドロシーを知ったのは、遙か昔、20年近く前。
今もTBS系で続いているピーター・バラカンさんナビゲイトの「CBSドキュメント」で紹介されたのがきっかけ。
当時すでに稀代のアートコレクターとしてNYでは知る人ぞ知る存在だったお二人に迫った15分間のドキュメンタリーでした。その短い間に、私は彼らの美意識とコレクターぶりに度肝を抜かれ、なんと20年近くも彼らのことを覚えてました。
たまたま、YouTubeにあった予告編に、その時、私が見た映像が使われてました。
47秒あたりに「小さく切ったロープを釘で壁に取り付けただけのアート」が紹介されてます。この「小さなアート」。このご夫妻にかかれば素晴らしいアートに見えてはきますが、もしこれがギャラリーにあったら私はそのまま通り過ぎてしまうか、1秒で次ぎの作品に行ってしまうでしょう。
ほとんどの人はそうだと思うのです・・・。
それなのに、数多くの作品の中からお二人はこれを選び、お金を出して買っています。それほど豊かでもない給料のなかから・・・。
私がこのアートを気に入ったなら、きっと金物屋さんに入って細いロープを買い、好きな長さに切って、自分でトンカチで壁に貼り付けるでしょうね。そしたら100円もしないで、同じアートが出来上がります。もちろん、その時点で、この作品は、アートというよりは「ロープの切れ端を壁に貼り付けたもの」に成り下がってしまうでしょうが。
でもこのお二人は、そのロープの切れ端を芸術作品と認め、購入し、そしてそのアーティストの作品をそれからもずっと購入し続けているのです。
そして、悔しいことに、20年近くたっても、その作品を私は覚えていたのです!
このドキュメンタリーをみて、お二人が見ていたのは、単に目の前にある作品だけではないということが少し分かりました。作品を生み出すに至るまでのアーティストの心模様、感動、作品が変わっていく過程、その全てをこのお二人はアーティストの方々と分かち合っているんですね。
お二人の人生のなんと豊かなことか。
そして、世界中で何十億もの人間がいる中で、唯一無二のパートナーに出会えたお二人が羨ましくなりました。このお二人こそ、ソウルメイトでしょうね。
映画「ハーブ&ドロシー」はアート系の小さな映画館で上映されています。